【産業天気図・家電・AV】費用減で10年度前半は「晴れ」へ、ただ新分野開拓なければ中期の成長継続難しい

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 各社の業績を左右する既存事業は薄型テレビだが、市場の成長力は底堅い。米調査会社ディスプレイサーチの予測によると、新興国でのブラウン管テレビからの置き換え需要を背景に、10年の液晶テレビ販売台数は1億4800万台と前年比2割弱増が見込まれている。この予測値は今夏のものであり、クリスマス商戦などの動向を踏まえるとさらに高い成長が期待できるとの見方もある。

今期複数の自社テレビ工場を閉鎖・売却したソニーは、来期以降は外部の生産委託工場を活用し販売台数の大幅拡大に乗り出す方針。11月の経営方針説明会では13年3月期に台数ベースで世界シェア2割、約4000万台程度の販売を目指すとした。まずは来11年3月期の販売台数は、最大2500万台程度と1000万台近い上乗せが照準にあるようだ。

この環境の中、大阪・堺で次世代液晶工場を稼働させたシャープも、液晶パネルの出荷を着実に伸ばせる期待がある。

ただ懸念は価格下落。足元、テレビの価格下落幅は前年同期比2割程度の勢いが続いており、来期も台数の伸びを価格下落が相殺する懸念がある。3Dや、バックライトにLEDを使った液晶テレビ(いわゆるLEDテレビ)など付加価値の高い製品の比率を高められるかがどうかが事業戦略のカギだ。

また来期は、新分野の育成も各社の課題だ。この点、戦略が鮮明なのはパナソニック。三洋電機<6764>の連結子会社化で、太陽電池と自動車向けなどのリチウムイオン電池の拡大が期待される。詳細は10年1月に開かれるパナソニックの経営方針説明会で明らかになる見通し。

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