感染者の「ペット」を無償で預かるサービスとは 飼い主の「もし自分が入院したら」という不安

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同社広報によると、4月末の時点で200件以上の相談があった。多くは感染者ではないが「感染したらお願いしたいが、どうしたらいいか」などの問い合わせであり、感染者からの申し込みは1割程度である。

また検査で陽性となったものの、まだ入院できず自宅待機をしている飼い主などが多く、実際の預かり例は今のところまだ出ていない。

しかしなぜ、ペット保険の会社が今回のようなプロジェクトに取り組むことができたのだろうか。まず、同社の概要について説明しておこう。

今、国内ではペットブームといわれつつ、ペットの飼育件数は微増程度。しかしペット産業全体は右肩上がりで、中でもペット保険の普及率はまだ低く有望な市場とみられている。

2000年4月に任意組合として発足した同社は、7月に株式会社化。2010年3月に株式上場し、その当時の92億1500万円から、現在の424億円(2020年3月・計画値)へと、毎年収益を伸ばしてきた。ペット保険としては11年連続で5割以上のシェアを占める。

「窓口精算」や「LINE保険請求」の仕組みを導入

保険商品の特徴としては、一つには「窓口精算」や「LINE保険請求」の仕組みを導入しており、保険金の支払い請求が手軽に行えることが挙げられる。

保険に加入すると1頭ずつに写真入りの保険証を作成し、同社で運営している病院や提携病院ではそれを見せるだけで、保険金の支払いが行われる。いわば、人間の健康保険と同じ仕組みということだ。

アニコムの保険加入で支給されるペット用の保険証(写真:アニコムホールディングス)

また同社提携以外の動物病院でも、LINEアカウントから保険金請求が完了する。

「できるだけ手軽に手続きができるようにしています。ペットを病院に連れて行く負担もそれだけ減り、病気の早期発見、早く手当てをすることにもつながります」(広報 兵藤未來氏)

保険料は例えば犬であれば、犬種や年齢によって保険料は異なる。同社で加入者の多い「どうぶつ健保ふぁみりぃ」の場合、7割負担で通院、入院それぞれ1日14000円、手術1回14万円まで保障といった条件で、日本で多いトイプードルなら3歳で月額3580円、7歳なら5650円だ。

これは他社に比較しても割高だという。確かに、他社の保険料を単純に見ると月額1000円台の保険も存在する。

負担率や年に何回までOKか、といった補償内容は各社それぞれ異なり、保険料もその内容に見合った金額になるわけだ。

しかしアニコムの保険料が高い理由の一つは、付随するサービスが手厚いためだそうだ。例えば、保険加入者は年に1度の健康チェックが受けられるほか、ペットの健康が心配になったときは、いつでも獣医師にLINEで健康相談ができる。

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