【産業天気図・アパレル】終始「曇り」へ、低価格戦略の専門店堅調も重衣料・ジーンズ苦戦、企業の勝敗二極化進む

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

アパレル業界の2009年10月~10年3月、10年4月~9月はともに「曇り」になりそうだ。機能性肌着の根強さに加え、低価格に強みのある大手衣料専門店は業績堅調。一方で、単価の高い冬物衣料を中心にコートやスーツなど重衣料の販売は厳しく、紳士衣料専門店などは苦戦を強いられる。消費環境の厳しさを受け、業界の優勝劣敗は鮮明になりそうだ。

業界最大手のファーストリテイリング<9983>は、主力業態「ユニクロ」が前年に引き続き好調。特に冬用の機能性肌着「ヒートテック」は今期5000万枚と前期比1.8倍を目指し拡販中だ。ヒートテックは前期は08年12月完売で機会ロスが発生したため、今シーズンは素材と製造工場を確保し、海外も含め販売を拡大させる。ヒートテックなど強い商材に支えられ、既存店売上高は10月以降も前年同月比を大幅に超えており、勢いは衰えを見せていない。

しまむら<8227>も堅調。従来からの低価格路線にファッション性を加え、購買層が若年層を中心に拡大している。既存店売上高も底堅い。中国からの商品の流通経路単純化も進み、経費の圧縮も期待できそうだ。

一方、12月~3月に収益のヤマ場を迎える紳士衣料専門店各社は、12月の冬季賞与の減少を受けて苦戦が予想される。こういった中、主要各社は差別化戦略に懸命だ。紳士服専門店最大手の青山商事<8219>はウール素材のスーツ、レディススーツ、インターネット販売などを強化。AOKIホールディングス<8214>やコナカ<7494>は温度調節に特徴を持たせた機能性スーツの展開と、若者に人気のタレントを起用するなどで対抗する。だが限られたパイの争いは熾烈を極めそうだ。

また百貨店の不振で、百貨店向けブランドを展開するオンワードホールディングス<8016>なども低迷。ジーンズなどのカジュアル衣料も、総合スーパーなどの1000円を下回る低価格品に客足を奪われるなど厳しい。ライトオン<7445>は光沢あるジーンズ「シャイニーデニム」や「洗えるダウン」、ジーンズメイト<7448>では「洗えるコート」など、付加価値の強い新商品を訴求中。だがジーンズなど主力商品の低迷で、抜本的な業績回復は難しい情勢だ。
(鈴木良英)

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