【産業天気図・半導体】最悪期を脱出、半導体市場は11年に過去最高を更新へ、ただ川上の装置市場は回復低水準

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 メモリ、システムLSI、ディスクリートとも稼働率が上昇していることは間違いない。が、メモリに比べて、システムLSIはまだ採算割れの状況でNECエレクトロニクス<6723>、ルネサステクノロジ(非上場・日立製作所<6501>、三菱電機<6503>の持ち分適用会社)も赤字が続いている。顧客側の値下げ要求などが厳しく利益を取れないでいるようだ。

半導体以上に落ち込みが激しかった川上の半導体製造装置業界も、顧客の投資再開で回復に向かいそうだ。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の12月の予測では、09年の半導体製造装置販売額は前年比46%減。08年の31%減に続く大幅減少となる見通し。だが、10年は53%増に反転し11年も続伸と、回復局面を迎えそうだ。業界主要企業の業績も従来予想より改善方向にある。東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>の赤字額は四半期ごとに縮小中。稼働率上昇で即恩恵を受ける消耗品ビジネスを持つディスコ<6146>は第2四半期にすでに黒字化した。ディスコは比較的投資が活発なLED製造装置の増加も寄与している。

ただ、今の予想では、販売の絶対額では11年になっても07年水準は回復できないという厳しい事実もある。全体のパイが縮む中、装置業界内で優勝劣敗も歴然となりそうだ。 
(山田 雄大)

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