日本経済の4番打者、輸出は復活できるか? アイフォーン、ユニクロ、メルセデス..輸入はいいけど

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アイフォーン、ユニクロ、メルセデス、リレンザ

輸入で増加している品目は、まずは全体の3分の1を占める鉱物性燃料だ。LNGの輸入額は7.1兆円(2013年実績、以下同)で、震災前の2010年実績と比較すると、ものの見事に倍増している。電力会社がよく言う「原発停止に伴う3.6兆円の国民負担増」の正体がこれだ。このまま原発再稼働ができない場合、年間3兆円以上の国富が、今後も海外に流出し続ける計算になる。異論が多いことは承知しているが、安全が確認された原発は順次、稼働すべしというのが筆者の見解だ。

それと同時に製品輸入の増加が目立つ。例えば通信機は、以前は代表的な輸出品のひとつであったが、今はスマホやタブレット型端末の輸入が急増している。今では通信機輸入が2.7兆円に対し、輸出はわずかに5300億円。こんなハイテク分野で、2兆円以上の貿易赤字が出ているのだ。

衣類・同付属品も好調で輸入額が3.2兆円。高級ブランドから低価格帯まで、今や衣料におけるメイドインジャパンは希少価値となりつつある。それから昨年は、自動車輸入が史上初めて1兆円を超えた。つまり消費ブームで外車が売れているということだ。

意外なところでは、医薬品も急増中で2.1兆円。とは言っても、日本人がバイアグラを買いまくっているわけではない。インフルエンザ治療薬などの伸びが目覚ましい。

象徴的に言うと、「アイフォーン(通信機)、ユニクロ(衣料)、メルセデス(自動車)、リレンザ(薬品)」などが輸入増の原因となっているわけだ。これらはブランド力があり、高付加価値な製品輸入である。

かつての日本は、非関税障壁が多いと批判されたものだが、今ではごく普通にグローバル商品を受け入れている。それだけ消費者の選択肢が広がり、経済の生産性が向上していることになる。古い話だが、1986年の「前川リポート」が目指した黒字減らしのための構造調整が、今頃になって実現しているのではないだろうか。

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