「地方銀行の崩壊」コロナが映す暗い未来予想図 銀行破綻が「連鎖的な企業倒産」招く危険も

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考えたくもありませんが、もしも地域金融機関が破綻したらどうなるでしょうか。

地域の中小企業・零細企業はもともと体力が弱く、金融機関に日々の資金繰りを依存しています。金融機関が破綻すると、ひとたまりもなく連鎖的に倒産します。すると、地域に失業者が溢れます。個人融資の返済が滞ってさらに不良債権が増え、さらに金融機関が破綻し……。この悪循環が始まると、ただでさえ衰弱している地方経済は、壊滅的な状態に陥ること確実です。

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もちろん、そうならないよう、国は金融庁を中心にセイフティーネットを再整備をするなど、対応を進めているはずです。ただ金融政策だけでなく、給付金・支援金をスピーディに届けて国民の資金面の不安を払拭する、感染が拡大していない地域では経済活動を維持・向上させる、といった総合的な経済対策が必要です。

地域金融機関に求められる「3つの自助努力」

一方、地域金融機関も「最後は何とかしてくれる」と行政に頼り切ってはいけません。次のような自助努力をすることが期待されます。

1.増資で資本を増強するとともに、貸倒引当金を積み増す
2.緊急融資では、企業の将来性や経営姿勢などを見極めて選別融資する。また、融資した後は、外部専門家を活用して融資先の経営改善の進捗状況をモニタリングする
3.地域の経済活動を支援する(もちろん感染には注意しつつ)

こういう非常事態だからこそ、地域金融機関にも行政にも、そしてわれわれ国民にも、危機を直視し、冷静に対応することが求められます。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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