「コロナ大恐慌」日本人にのしかかる大きな難題 経済停滞は長期化懸念、企業には覚悟が必要だ

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(出所)『週刊東洋経済』4月25日号「コロナ大恐慌」

業況悪化による売り上げの急減は企業の資金繰りを逼迫させる。政府は事業規模108兆円の大型経済対策を打ち出し、支えようとする。しかし、飲食店は失った売り上げを取り戻せるわけではない。新たな借金を背負っても、それを返済できる当てがないと思えば、事業継続を諦める経営者も出てくるだろう。新型コロナの影響で自主廃業や倒産となる企業が増えている。

経済の停滞は長期化が必至だ。新興国ではこれからの感染爆発が懸念されている。もし首尾よく日本国内で感染を抑え込めたとしても、海外の影響による第2波、第3波を警戒しなければならない。そうした恐怖がある限り、経済活動を活発化させるのは難しい。

企業倒産→不良債権→金融危機の懸念も

海外で感染が続けばグローバルな活動は抑え込まれ、経済は低成長を余儀なくされる。そうなると、過去に類を見ない経済対策でも支えきれず、倒産の連鎖が止まらなくなる可能性がある。それら企業に融資した金融機関に膨大な不良債権が発生することも起こりうる。金融危機につながるのを防ごうと、日銀による国債買い入れと政府による国債増発が進むだろう。

しかし、日本の公的債務の残高は先進国でも最悪の水準。コロナ危機対応で各国の財政状況が悪化したとしても、相対的に日本国債に対する信認が低下する懸念は拭えない。

日本国債への信頼が揺らげば日本経済は大きな打撃を受ける。われわれは、そのリスクさえも見据えなければならない。政府に頼らずとも、しぶとく生き残れるか。その覚悟が民間企業には求められている。

『週刊東洋経済』4月25日号(4月20日発売)の特集は「コロナ大恐慌」です。
福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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