J3で裾野を拡大、ファン層の多様化も重要 日本プロサッカーリーグ・村井満チェアマンに聞く

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――リーグ運営で参考にしている国は。

ドイツだ。中でもドルトムントのスタジアムは毎週末平均8万人が来場する。 キッズスペースや目が見えない人たちのためのラジオ放送もある。Jリーグはピッチ上でのフェアプレーやファイナンシャル・フェアプレー、八百長などを許さないソーシャル・フェアプレーの3つを提唱している。その土台となるのは、ドイツがいちばん近いと思う。

──チェアマンとして優先的に取り組みたいことは。

コア層の熱狂的な男性だけでなく、女性や家族連れなど多様なファンを獲得したい。テレビ放映はスカパー!とのタイアップを強化していく。新規のお客様を引き付けるためにも、いくつかの試合は全国放送で見ていただくことも大切だと考えている。

──3月8日の試合会場でサポーターが差別的な内容の横断幕を出した浦和レッズに対し、Jリーグで初の「無観客試合」という処罰を決めた。

話を聞いてすぐ、厳罰で臨まなければと思い、規定を踏まえ、裁定委員に確認したうえで発表した。無観客試合は対戦チームにも迷惑が及ぶだけに非常に重い処分だったが、いい方向に収斂してほしいと思っている。

――スポーツ選手にとって引退後のキャリアも重要なテーマ。これまで人材ビジネスを手掛けて来た経験から、どのような可能性があるとみているか。

 人材を人格、能力、スキルの側面でみると、一流のビジネスパーソンと比較して、プロサッカー選手は人格、能力の面で遜色ない。セルフコントロールの力、チームを作る力、分析する力があり、リーダーシップも磨かれる。

彼らがビジネスの世界に行っても十分やっていける。表層的なスキルがないということで転身が進んでいないが、それは、社会側に人材の翻訳能力が欠如しているから。一方、Jリーガーの側も「俺は無理」と思い込んでいる。そうした思い込みの鎖を断ち切ることが大事だ。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2014年4月5日号に一部加筆)

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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