社会的距離を越えてコロナの時代と向き合う 世界の知性が問う今後の「グローバル経済」

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世界の知性たちは新型コロナウイルスによる衝撃の本質と今後の展望をどのように語ったのでしょうか(提供:NHK)
新型コロナウイルスによる社会の変容について、世界の知性たちはどのように捉えているのか。
BS1スペシャル シリーズ コロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」」(NHKBS1で4月18日土曜夜7時から)では、「欲望の資本主義」「欲望の時代を哲学する」などの「欲望」シリーズに出演してきたジョセフ・スティグリッツ、トーマス・セドラチェク、マルクス・ガブリエル、ニーアル・ファーガソンらにインタビューしている。世界の知性たちが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界の経済、社会にもたらした衝撃の本質を分析し、今後の展望を語る。

ノーベル賞経済学者が語る「未知の領域」

「家の中にいても、人々が緊張しているのは明らかです。聞こえてくるのは、救急車のサイレンの音だけなのですから……」

『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら。電子版はこちら

われわれ取材チームの急な依頼に、ニューヨークの自宅から自らコンピューター画面を動かし調整しながら答えてくれたジョセフ・スティグリッツは、早速現状分析を始めた。

「短期的には、今日、ヨーロッパの経済指標が急落しているのは、社会的距離と呼ばれるものがもたらしています。しかし、中長期的には、さまざまな問題が顕在化してくるでしょう。個人や企業のバランスシートが侵食されそうです。

多くの企業は強い流動性の問題に直面するでしょう。それは、もちろん重要なこととして総需要の問題がありますが、流動性の問題であり、供給側の問題でもあります。この問題から抜け出すためには、ある種の技術と思慮深さが必要になり、未知の領域と呼べるかもしれません」

スティグリッツが「未知の領域」と表現する、世界経済の混乱。経済の問題としても、もはや長期戦になることは避けられない状況だが、今回の場合、そこにはなんとももどかしい、人と人との壁が存在する。「技術」と「思慮深さ」はどのように発揮されるべきか?

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