「コロナ恐慌」後、アメリカを待つ4つのシナリオ 「ニューアブノーマル」時代がやって来るのか

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GDP、雇用、株価など、あらゆる経済指標が低水準で落ち着いてしまう。これを「ニューノーマル」と呼ぶか、あるいは「ニューアブノーマル」と呼ぶべきか。こんな時代のアメリカを率いることになるのは、民主党のジョー・バイデン大統領となるだろう。ただ高齢であることと、中国に対して強く出られなさそうな点がちょっと心配である。

ひとつだけ朗報は、低成長化によってCO2の排出量が減り、気候変動問題が改善に向かうことだ。ことによると人類は、感染症という形で地球から報復を受けたのだろうか?

W型シナリオでは、「2つのアメリカ」に?

4)W字型シナリオ

夏頃まではV字型回復を思わせる展開となるが、油断したところでコロナウイルスの逆襲を受けてしまう。やはり、なまやさしい敵ではなかった。人間がこれまでの生活パターンを変えない限り、景気は二番底、三番底をうかがうこととなる。AC(アフター・コロナ)の世界は、BC(ビフォー・コロナ)のようにはいかないのだ。

上の画像をクリックすると、「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事の一覧にジャンプします

何よりアメリカは国が広い。当初、感染が広がったのはニューヨークやカリフォルニアのように、民主党が強いブルーステーツであった。逆に共和党が強いレッドステーツは総じて人口密度が低く、今も外出禁止令を出していない州がいくつかある。

都会に住む民主党支持者は悲観的であり、トランプ大統領に不信感を持ち、メインストリームのメディアを信用している。そして「ソーシャル・ディスタンス」を守っている。逆に、地方に住む共和党支持者は楽観的で、トランプ大統領を信じてマスコミを信じない。コロナウイルスについても、まだどこかタカをくくっている。コロナに対してまで、まるで2種類のアメリカ人が共存しているようなものなのだ。

以上、4つのシナリオを挙げてみたが、全部ありそうに思えてしまうから困ったものである。つくづく今のような状況においては、ひとつのシナリオに決め打ちすることができない。将来へのイメージを膨らませ、情勢の変化に応じて臨機応変に修正していきたいものだ。そして何より、読者諸兄のご健勝とご自愛を祈る次第である(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末の競馬を予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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