現金給付が「今のままでは無駄足」に終わる理由 「必要な人に給付を届ける」ための2つの提言

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経済対策というと、国民の間で期待が高いのが、「消費税の減税」です。ただ、消費税減税は、システム変更など準備に時間がかかりますし、消費するお金が足りない生活困難者にとってはさほどメリットはありません。また、外出自粛を要請し、消費行動を抑制しようとしている政府の方針とも矛盾します。

消費税減税は、「経済活性化」には一定の効果を見込めますが、「生活困難者の支援」にはあまり繋がりません。したがって政府が推進しようとしている現金給付の改良について提言します。

窓口での「対象者のスクリーニング」は困難

政府は3日、新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減った世帯への1世帯あたり30万円を現金給付する枠組みを決めました。減収後の月収が一定の基準を下回る世帯に対象を絞り、高額所得者への給付は見送ります。希望する人が市町村に自己申告して受け取る仕組みを想定しています。

こういう支援で難しいのが、公正さの確保。支援を必要としない高額所得者を除外し、困難度・緊急性が高い弱者をピンポイントで支援するのが好ましいところです。ただ、政府が想定する自己申告では、高額所得者を排除することはできません。

かといって、申請者の所得状況をきちんと確認しようとすると、申請者にも市町村にも膨大な手間・作業が必要です。スピード感にも欠けます。市町村の窓口で「何で俺の申請は認められないんだ!」と怒号が飛び交う場面が目に浮かびます。

給付金の申請・支給方法に工夫が必要です。政府は、市町村での申請を想定していますが、これはどうでしょうか。たくさんの国民が公共交通機関を使って役所に出向き、窓口で長い行列を作り、役所の担当者に怒号を浴びせる姿が浮かびます。政府が国民に外出自粛・3密回避を要請しながら、率先して外出を奨励し、新たな3密スポットを作り出すというのは問題でしょう。

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