ここまでやっても感染者が激増「イギリス」の今 不要不急の外出禁止、記者のいない記者会見

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正社員で自分が感染して働くことができなくなった場合、雇用主が病欠手当を毎週94・25ポンド(約1万2000円)払う(28週間まで)。ただし、毎週の賃金が118ポンド(約1万5000円)以上であることが条件となる。通常、支払いは病欠の4日目から数えて支払われるが、政府はこれを1日目からに変更した。

正社員ではない場合、あるいは毎週の賃金が118ポンド以下である場合でも、国民保険料を2〜3年払っていると一定の金額が支払われる。

経営状況が悪化しても従業員を解雇しなかった企業は、従業員1人につき、給与の最大80%(月に2500ポンド=約33万円=を上限)が政府から支給される。

自営業やフリーランスには収入の8割を負担

自営業者・フリーランスの場合、今後3カ月にわたり、経費を引いた収入の最大80%(月に2500ポンドを上限)が政府から支給される。ただし、経費を引いた年収が5万ポンド(約660万円)以下で、過去3年間、税金を払っていた人など、いくつかの条件がある。

正社員として働く人と自営業・フリーランスの人をほぼ同等にしたシステムを新たに作ったわけだが、正社員側からは「もうすでに解雇されてしまった」、フリーランス側からは「3年未満のビジネスがカバーされていない」などの不満が出ている。特に、正社員側の体制は4月から実施されるのに対し、フリーランスの方は6月から支給が始まるため、「対応が遅い」という批判が出ている。

もし一時解雇となれば、正社員の場合1日29ポンド(約3860円)計算で、週に5日働くとすると145ポンド(約1万9000円)の収入が保障される。

失業となった場合は、失業に関連したさまざまなサポートが得られる「ユニバーサル・クレジット」を申請することになる。給付金の額は申請者の状況によって変わるが、スナク財務相はコロナ感染の影響を加味し、一部の上昇を計画。例えば独身で25歳以上の場合、今月から月に323・22ポンド(約4万3000円)の手当が出ることになっていたが、これをさらに406ポンド(約5万4000円)に上昇させるという。

日本で外出禁止令が出て、飲食業や大部分の小売店が閉鎖された場合、経済への影響があまりにも大きいため、筆者はそういう事態にはならないのではないか、と思う。実際に、スウェーデンでは外出禁止令は出ておらず、レストランもにぎわっている。感染者を増やさないように気を付けながら、経済活動を維持させることは不可能ではない。

しかし、もし「ロックダウン(封鎖)」を選択した場合、今準備できることはある。医療体制を充実させ、感染者急増の際にも対応できるようにしておくこと、飲食業を含むいわゆるホスピタリティ業の閉鎖で職を失うかもしれない人、あるいは従業員を解雇せざるを得ない事業主への財政支援を整えておくことである。社会不安をなくするためにも、今すぐ、取り抱えるべきだろう。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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