JR中央線に登場、「駅そばロボット」の腕前は? 東小金井駅で淡々とそば茹でる「寡黙な職人」

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この厨房で、常にロボットと人1〜2人で作業する。

一方、調理ロボットを手がけるコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOに苦労した点を聞いてみた。

コネクテッドロボティクス代表取締役CEO沢登哲也氏(左)と日本レストランエンタプライズ(NRE)代表取締役社長 日野正夫氏(右、筆者撮影)

「提案したのが昨年10月初め、開発にかけたのは4カ月半くらいでした。ロボットを設置するにあたり、調理器具も調理機器メーカーの方と相談しながら調整しました。ロボットの動きを含め、この厨房のスペースに収めるのが一番大変でした」

リニューアルした店内の厨房のシンクは、ロボット用に特別に作られた。奥行き約53センチ、幅約220センチのシンク内に動きを収めなくてはならない。

「なおかつ、シンクの向かいには冷蔵庫があるので、ロボットと人がぶつかったりしないよう、動線も考えないとなりません。値段や信頼性を考えて、アームは今回、大きめのものを使用しました。それから麺を入れる、てぼが3つ入る容器も特別に作っています」

てぼ1つに対して麺は1食分。1回に茹でられるのは3食分だが、それが2セットある。これら2つを時間差でロボットが調理作業するので、効率がよい。ディスプレイには、てぼが「奥」と「手前」で何の作業中なのかが表示される。

「たこ焼きロボット」も

私はロボットが昔から大好きだ。かつて生産技術という名称のロボット会社のロボットたちに会うために、わざわざ富山まで行ったことがある。今も「ロボクン」というロボットの4コマ漫画を連載しているくらいだ。

「国際ホテル・レストラン・ショー2020」での駅そば風ブース(筆者撮影)

そしてこの駅そばロボットも、待ちきれずに1カ月前に会いに行った。2月18〜21日に幕張メッセで開催された「国際ホテル・レストランショー2020」に出展されていたのだ。

コネクテッドロボティクスのブースでは、「そばロボット」以外に「どんぶり食洗ロボット」「ビール提供ロボット」「コンビニ調理ロボットHot Snack Robot」「たこ焼きロボット」「ソフトクリームロボット」の計6種のロボットが展示されていた。

しかし最終日に到着したときには、すでに調理ロボのデモは終わっていた。がっかりしていると、近くにあるイトーヨーカドー幕張店 店舗内のフードコート「ポッポ」にて、実際に「たこ焼きロボット」と「ソフトクリームロボット」が稼働しているという。

行ってみると、駅そばロボットと同型のロボットアームが、器用にたこ焼きを作っている。まずポットを持って種を流し、具を入れ、焼く間は休む。焼けたらたこ焼きのピックを持ってひっくり返す。いろいろ持ち替えつつの器用な動きに、見ていて飽きない。気づくと子供たちも数人、私と同様にガラスに張り付いて見ていた。

もちろんロボットが作るたこ焼きとソフトクリーム、両方食べて帰った。

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