公選法違反で辞職も、河井議員夫婦の絶体絶命 後継候補探しが本格化、問われる出処進退

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夫の河井克行・前法相とともに公職選挙法違反に問われている河井案里参院議員。写真は2020年3月の参院本会議(写真:つのだよしお/アフロ)

2019年夏の参院選・広島選挙区(改選数2)での公職選挙法違反事件で、関与を疑われている自民党の河井案里氏(同区選出)と夫の克行氏(前法相、衆院広島3区選出)が、「国会議員として絶体絶命の窮地」(自民幹部)に立たされている。

広島地検が案里氏の公設秘書らを買収罪などで起訴、その後も河井夫妻や周辺関係者の捜査を集中的に進めているからだ。

河井夫妻の後継者探しが本格化

案里氏は、公設秘書の有罪が確定したときには連座制での議員失職が確実視され、選挙活動を取り仕切ったとされる克行氏も「近い将来、買収罪などでの起訴が不可避では」(広島の司法関係者)との見方が広がっている。自民党広島県連は議員辞職や失職に備えて後継候補探しに着手しており、野党側も候補者擁立作業を本格化させている。

河井陣営の公選法違反疑惑は2019年10月末の週刊誌報道をきっかけに、広島地検が本格捜査に着手。報道と同時に、当時法相だった克行氏が閣僚を辞任し、その後は案里氏ともども説明責任も果たさず雲隠れを続けたことで、安倍晋三首相を悩ます政権スキャンダルに浮上していた。

ただ、桜を見る会の私物化疑惑や1月末からの東京高検検事長定年延長問題に加え、コロナショックへの対応が重なり、河井夫妻問題は「永田町での話題の片隅に追いやられていた」(閣僚経験者)のが実情だった。

3月24日に起訴されたのは案里氏の公設秘書と克行氏の政策秘書だ。2019年夏の参院選で河井陣営のウグイス嬢に法定上限を超える報酬を支払った罪に問われている。広島地検は案里氏の公設秘書が連座制適用の対象となる「組織的選挙運動管理者等」に該当すると判断し、裁判長期化で判決の実効性がなくなるのを防ぐため、100日以内の判決を求める「百日裁判」を申し立てた。

これにより、今後の公判で当該被告の禁錮刑以上(執行猶予を含む)が確定すれば、案里氏の当選は無効となり、参院議員を失職する可能性が大きい。一連の裁判手続きが順調に進めば、「8月中には決着する」(司法関係者)とみられている。

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