業界別なら劇的効果「ビッグデータ超活用法」 「オラクルインダストリーコネクト」現地レポート(2)

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さらに、エネルギー業界からもビッグデータを極めて重視しているという重要なプレゼンがあった。NIソース社のマイク・フーパー副社長はパイプラインの例をあげた。「2週間に1度の頻度でパイプラインのどこかで事故がおきている。それにリアルタイムで対応しなければいけない。

ただ、どのタイミングで必要なデータがそろうのか、いつ判断を下すべきなのか迫られる」と、難しい局面についての対応を語った。また、結果的に、事故が起きた後に最高の対応をしても、顧客に悪い影響が出ては、不満を残してしまう。

そのためにも、顧客に対して平時から、事前にシグナルを出すことが重要という。古いパイプラインも多く、そのリアルタイムのデータをもっととる必要がある。それが、事故を未然に防ぐことにつながるというのだ。 

「チームUSA」はビッグデータで優勝を引き寄せた

最後に、アメリカズカップで優勝したチームUSAのメンバーであるブラッド・ウェブ氏が紹介された際には、会場から大きな拍手がおこった。驚異の逆転優勝の記憶も新しいのか、凱旋した英雄の存在感は本当に大きかった。

「ビッグデータによってたくさんのデータを得たおかげで、次のステップをどうするか、大いに役立った」と、アメリカズカップ優勝の要因の一つに、ビッグデータの分析をあげた。情報をきちんと最適化し活用したことが重要だったというのだ。情報として重視したのは、「何が」「どの」タイミングで壊れるか、その安全性のモデリングだ。これが正確にできたことが勝因となったという。試合にはアナリストも同行し、ゲーム中も瞬時にデータのフィードバックを出しているという。

「レースが始まれば、コックピットにもデータが集まる。クルーに必要な情報を集め、それをみてコースを修正するなどの判断もしている」ということだ。観客は懸命にオールを漕ぐ選手の姿に興奮するアメリカズカップだが、その裏には膨大なビッグデータを、瞬時に戦略に生かす、激しい情報戦が展開されていたようだ。

オラクルのインダストリーコネクトは、ビジネスの現場に切り込めたようだ

好評のなか、2つのクロスセッションが終わり、その後、ビジネスリーダーたちは、個別業界ごとのセッションにそれぞれ別れ、各部屋で熱い議論が展開された。

金融のセッションでは、スピーチの途中から質問が相次ぐなど、前のめりな参加者も目立ったほか、午後のセッションでは、シェールガスについての熱い議論も展開されていた。エネルギーの世界も、膨大なデータの活用が課題となっており、大胆な予測を上回るペースで進むシェール革命でもITの出番は多くなりそうだ。

オープンワールドなど、従来のオラクルのイベントでは、ジーンズ姿のラフな格好が目立つものなのだが、このインダストリーコネクトでは、スーツ姿が圧倒的に多かった。レーダーのようにシャープに、ビジネスの現場に切り込んだイベントは、寒波の荒れ狂うボストンでも大きな成果を上げたようだ。

現地レポート(1)はこちら

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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