新「MacBook Air」が大ヒットする2つの理由 人気薄型ノートPCが1年半ぶりに「大幅刷新」

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キーボードはMagic Keyboardに刷新された。静かで軽快ながら、実に打ち心地がよい。また右上には独立したTouch IDセンサー付きの電源ボタンが配置され、ウェブのパスワード入力もワンタッチだ(筆者撮影)

3月18日、アップルは薄型ノートパソコン「MacBook Air」を刷新した。一言でいえば「コストパフォーマンスが極めて高い、長持ちするノート型Mac」という評価だ。

今回は1年半ぶりのマイナーチェンジに相当するが、それまで抱えていた問題を2つ解決した。それがそのまま、大ヒットする理由を作り出していると感じた。

MacBook Airの誕生は2008年

MacBook Airは、アップルのノートパソコンで、デビューは2008年にさかのぼる。当時のCEOだったスティーブ・ジョブズが、茶封筒からパソコンを取り出すパフォーマンスで「超薄型」「金属ボディ」「ノートパソコン主体のパソコン市場」など、いくつものトレンドを作り出すきっかけとなった。

ノート型パソコンの「デスクトップに対する補助的な存在」という価値感を覆し、ノートパソコンだけをデスクでも出先でも使うスタイルを確立した。とくに海外の企業では「BYOD」(Bring Your Own Device、自分のデバイスを持ち込む)で持ち込みたいデバイスの代表格となったり、IBM等の大企業がMacへ移行を促し、生産性を上げてコストを下げたことも話題になった。

【2020年3月25日15時15分追記】初出時、生産性の表現で誤りがありましたので、上記のように修正しました。

MacBook Airは、それまでのMacが強いとされていたクリエイティブや教育市場に加えて、ビジネス市場開拓にも一役買った。また2010年代のiPhoneアプリ市場の拡大で、アプリ開発用の需要に応えるなど、アップルによると、最も人気のあるMacであるという。

にもかかわらず、2010年にデザインを刷新して以来、2018年の刷新までの間、長らくプロセッサーなどの小幅な変更を繰り返すだけだった。2010年からの10年間、アップルはiPhoneによって大きく成長を遂げてきた。その反動からか「Mac軽視」と批判を集めた。

2018年のMacBook Airの刷新では、ノート型Macで最後となる高精細「Retina」ディスプレーへの対応や、Thunderbolt 3(USB-C端子)への統一など、2015年からのMacBookシリーズの標準的な機能を踏襲した。

しかし2018年モデル、これをマイナーチェンジしやや値下げした2019年モデルのMacBook Airには、2つの問題があった。2020年モデルが賞賛される理由は、2つを同時に解決したことだった。

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