TOKYOを駆け抜ける20代女子の本音 なぜ走るのはおじさんばかりなのか?

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「フルマラソンを走ったら人生が変わるよ」と友人に誘われて走り始めたのが、アパレル会社に勤務するTさんだ。この冬、富士山マラソンと名古屋ウィメンズマラソンを無事に完走した。それでも、「人生は変わらないですね(笑)。フルマラソンを2回完走できて体力があることは証明できました。感動はそんなになかったですけど、達成感はあったかな。でも、名古屋ウィメンズマラソンを走ったときに、ゴールの瞬間に一緒に走った友達の腕をつかんだら、普段はクールな彼女が泣き出して、やっぱり、フルマラソンはそれだけのものがあるのかもしれませんね」とフルマラソンの“魔力”を感じている。

名古屋ウィメンズマラソンで初マラソンを経験したOさんも、「痛みを乗り越えて、無事にゴールできたときは泣く寸前でした。もし友達などがゴールで待っていたら、号泣していたと思います」と“達成感”を味わった。

“感動”は人それぞれでも、フルマラソンを完走した彼女たちには、祝福の嵐が待っていた。「周囲からの評判がすごいんです。高校生のときに今の自分が走っているとは想像できていないですし、同年代の同僚で走っているのは少数派。フルマラソンを完走して、いろんな人から『すごいね』と言われるのはうれしいですね」とTさん。人生は変わらなくても、周囲からの“評価”は変わったようだ。

家賃の高い東京にひとり暮らしをする20代女子は、経済事情もあり、ランニングに多くのおカネや時間を費やすことは難しい。それでも、月に数回のランニングが彼女たちをさらに輝かせているのは間違いない。まだまだ少数派の20代女子ランナー。その数が増えれば、おじさんランナーたちもうれしいに決まっている。

現在、アパレルブランドは明らかに20代女子をターゲットにしたウエアづくりをしているが、それを主に着ているのがアラフォーという現実もある。20代女子ランナーが増えれば、日本のランニングブームは“ネクストステージ”に突入するだろう。

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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