コロナ騒動で光るポーランド人の「切り替え術」 リアルがダメならオンラインがあるだろう

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人の姿が消えたワルシャワ。特に観光客が多かったエリアは閑散としている(筆者撮影)

今や新型コロナウイルスのパンデミックの中心地と化してしまったヨーロッパ。多くの国が感染者の拡大を抑制しようと、学校の閉鎖や国境の封鎖、外国人の入国制限などの対策を行っている。

筆者が暮らすポーランドも厳しい規制が敷かれている。主だった措置を挙げると、学校、博物館、図書館、映画館などは閉鎖、レストラン、パブ、クラブ、バー、カジノなどは営業規制により店内での飲食は不可(デリバリーとテイクアウトはOK)となっている。

また、3月15日0時より、空路・鉄道における国際線はすべて運航・運行中止(貨物は従来どおり運行)となり、外国人は一時的に入国禁止(ポーランド国民の配偶者など例外あり)。これ以降ポーランドに入国する人は国籍に関わらず14日間の自宅隔離が義務付けられている。さらに3月24日には、外出規制、集会の規制が強化された。

厳しい状況であるが、そんな中でも「ポーランド人のたくましさ」を感じることもあった。世界中が不安のどん底に陥っている今だからこそ、少しでも希望を見出したい。

「対岸の火事」から様相が一変

3月半ばまで、ポーランドでは新型コロナウイルスに対して緊張感ゼロといっていいような状況だった。コロナウイルスに関するニュースはあちこちで取り沙汰されてはいたものの、どこか他人事。「対岸の火事」の様相だった。2月はもちろん、3月の上旬でさえ数多くのイベントが開催され、大勢の人でにぎわっていた。

例えば、3月8日には街の中心にある文化科学宮殿でヴィーガンフードや、ナチュラルコスメ、ベジタリアンのライフスタイルにマッチしたグッズを扱うショップが集まるイベントが開催された。

Facebookのイベントページを見ると「参加」が2000人、「興味あり」が1万3000人という大規模なイベントだ。筆者ものぞいてみたが、かなりの盛況。このときはまだ、多くのポーランド人はコロナウイルスなど気にせず日常生活を楽しんでいたのである。

雰囲気が一変したのは11日。政府はポーランド全域の学校を休校にし、ミュージアム、映画館、劇場などの施設の閉鎖、大規模イベントの開催禁止などを発表した。この時点ではポーランドの感染者数はまだ少数だったが、イタリアでは感染者が急拡大しドイツにも飛び火。「対岸の火事」どころか、お隣さんである。のんびりしている場合ではないと、緊迫ムードに急転換した。

ポーランドでもトイレットペーパーの買い占めは起こった。「トイレットペーパーがない」「冷凍食品のケースが空っぽ」などSNSにあおるような投稿をする人もいた。だが他国と比べると比較的マシだったのではないかと思える。品切れの商品の多くは週末には補充されていた。

後日、ポーランド人の友人に11~13日にスーパーで何を買ったかを聞いてみたところ、「ジャガイモ、ビーツ、ニンジン、カシャ(雑穀類)」だという。まさしくスーパーで品切れになっていた商品たちだ。非常時にポーランド人がまず何を買いに走るかがうかがい知れた。ちなみに、ポーランドの国民食ともいえるピエロギの棚も、一時はスッカラカンになっていた。

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