日韓オーディション番組が人気急上昇中のワケ ラッパーZeebraの娘も選抜メンバーで話題

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TWICEのコンサート会場でスカウトされ、JYPの練習生になったというミイヒ(写真:Sony Music Entertainment Inc./JYP Entertainment.)

選抜メンバーに負けず劣らずキラキラしているJ.Y. Parkの姿は「頑張っているおじさん」として同世代も応援したくなるはず。筆者もその1人です。

極めつけは番組で発せられる名言の数々。「やりたくないことも毎日コツコツやればやりたいことが一生できる」といった演歌の世界のような名言が並びます。

「人の見えないところを見えるようにすることが芸術です」(#1)「パフォーマンスをする前よりその人をもっと好きになったら成功です」(#7)といった言葉の裏は努力一徹にあふれまくっています。

日本でかつてブームだった「ASAYAN」型

オーディション番組はかつて日本でも人気を博していました。ニジプロのようなプロデューサー主導型は90年代に日曜夜9時の時間帯に放送されていたテレ東の『ASAYAN』(92年スタートの『浅草橋ヤング洋品店』のリニューアル版)を思い出す40代は多いでしょう。

小室哲哉やつんく♂のプロデュースによって、鈴木亜美やモーニング娘。、CHEMISTRYなどヒットメーカーを誕生させていました。モー娘。追加メンバーの一般公募オーディションには日本全国各地からアイドルを夢見る1万人以上が集まったと言われています。「つんく♂のお眼鏡にかなう子はいったい誰だ」と、そんな視点でも楽しめた番組でした。

26人のうち誰が韓国に行けるのか、最終話で明らかになる(写真:Sony Music Entertainment Inc./JYP Entertainment.)

オーディション番組は世界的には2000年代から今でも継続的に人気のジャンルです。ステージに臨む参加者と、パフォーマンス力の高い審査員、それをオーディエンスが取り囲む構図が多く、アメリカ発の『American Idol 』やイギリス発『X Factor』、オランダ発『The Voice』といった世界ヒット番組があります。各国版が作られていることも特徴にあります。中国では『Voice』の中国版のヒットからオーディション番組ブームを作り出してもいます。

歌番組作りが得意の韓国でもこれまでオーディション番組が大量に放出されています。ヒットしたら類似コンテンツを次々と作り、その中から新たな攻め方や次のヒットを生み出す手法もまさに韓国スタイル。Nizi Project、PRODUCE 101、G-EGGに共通する日韓合同型も今後増えていくでしょう。両国がタッグを組んで生み出したアーティストが世界を席巻するのも夢ではないのかも。

新型コロナウイルスの影響で今は不穏な空気も流れていますが、国境を越えた若者の夢と、それを支える大人のビジネスチャンスが再び開かれていくことを願います。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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