国に先駆ける地方自治体の「事業仕分け」、ムダ削減・役所の体質改善に実感も

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 事業仕分けによって、実際の歳出削減効果が出てきているのも事実で、厚木市では「トータルで約4億7000万円の成果」(小林常良市長)があったとみている。それよりも、「職員に緊張感が出てきた」、「説明能力やコミュニケーションの面で変わってきた」というように、役所内の変化が顕著になったと市長は口をそろえる。

加藤代表は、「市町村は、行政の“末端”ではなく“先端”。ここを見ることによって問題が見えてくる」と強調する。市町村という住民にいちばん身近な自治体が変わることによって、その積み重ねが結果として国全体を変えていくことにつながっていくというわけだ。

平成の大合併、三位一体改革、そして昨年秋のリーマンショックに端を発する景気悪化と、自治体経営を取り巻く環境は激しく変化し、しかも一段と厳しさを増している。そのなかで、財政のさらなる悪化を食い止めつつ、住民サービスを維持していく方法を探っていかなくてはならない。事業の中止や予算削減も避けては通れない道だが、行政は住民に対する説明責任をしっかり果たすと同時に、住民の側も自分たちの市政、財政などに関心を持ち、積極的に参加、関与する必要がある。今回の国の事業仕分けが高い関心を集めたのを機に、今後の地方自治体の事業仕分けも住民の高い関心のもとで進められていくことを期待したい。
(加藤千明 撮影:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)

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