コロナショックから日本を守る経済対策の要諦 最悪の事態を想定し準備しておくことが必要だ

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ここで重要なことは、信用収縮対策、流動性対策、金融機関対策は、先に述べた需要ショック対策としての企業への対策とほとんどオーバーラップしてくるということです。少なからずの地銀が十分な体力をもっていないことはすでに報道されている通りです。メガバンクも近年海外業務を増やしてきたなかで、今後感染拡大の収束に時間を要するようであれば、資本の毀損も起きてくることが予想されます。早期のうちに金融機関対策を講じておくことが、より多くの企業を存続させ、日本発の金融危機を防いでいくためにも重要なのではないかと思います。

 最悪シナリオをあえて想定しておく

私は今回のコロナショックを金融危機や経済危機にまで陥らせてはいけないと考え、リスクシナリオやワーストケースについて論考しています。リスクシナリオ分析とは、正しく使っていけば、重要なことを見落とす可能性を最小限に抑え、最終的にどのシナリオになったとしても準備万端で臨める可能性を最大化することができます。

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日本での感染拡大が他の先進諸国より抑えられ、日本での株価の乱高下もそれでもまだ比較的無難な動きとなっているなかで、真に抜本的な対策であるワクチン開発も含めて、日本からコロナショックに歯止めをかける動きを起こしていきたいものです。

田中 道昭 立教大学ビジネススクール教授

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たなか みちあき / Michiaki Tanaka

シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略およびミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)などを経て、現在は株式会社マージングポイント代表取締役社長。主な著書に『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)、『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテック企業の競争戦略』(日本経済新聞出版社)など。

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