名コースは選手を育てる

プロゴルファー/青木 功

 コースやトーナメントが選手を育てるとよく耳にしますが、私にとって宮崎県のフェニックスカントリークラブが、そんなコースの一つかもしれません。

1974年、ゴルフ解説者として知られる大西久光氏の企画で始まったのが、ダンロップフェニックストーナメント。大西氏の意図は、多くの外国トッププレーヤーを日本に招き、日本のプロゴルファーやゴルフファンの目を海外に向けさせ、日本のゴルフ界を世界レベルに引き上げようというものです。
 ですから、その大会にはジャック・ニクラスやリー・トレビノ、ジョニー・ミラー、ヒューバート・グリーンなど、世界に名の知られた名選手たちが参加したのでした。
 そしてコースのメンテナンスはフェアウェイもベント芝、グリーンもサンドで硬め、当時では速かった10フィート前後、まさにアメリカのトーナメントコース同様に仕上げたのです。

そんなコースに慣れない私は、大西氏の気持も知らず「グリーンをこんなに速くしてアメリカ人選手に勝たしたいのか」と文句を言ったほどでした。私の不安どおり? 大会が始まってから11年もの間勝ったのは、セベ・バレステロスやトム・ワトソンなど、外国の選手ばかり。
 フェアウェイがベント芝になると、ボールが浮く高麗芝に比べ、いつもよりボールを右サイドに置いてダウンブローにしなければならず、そのうえ体重をボールに乗せる必要がありますから、体格のいい外国選手には勝てないと思ったのです。
 しかし、持って生まれた負けず嫌い。当時、日本のトッププロの仲間入りをしていた私は、賞金の大半を旅行気分で日本に来た外国人選手に持っていかれるのに、無性に腹が立ったのです。「それなら自分がアメリカに行って、ドルを日本に持ち帰ってくる」、これが本格的に海外ツアーに参加した理由です。

「世界の青木」なんてニックネームを頂戴するきっかけとなった試合、それに現在はその大会のテレビ解説をさせていただいているわけですから、私にとってダンロップフェニックスは、大変恩義ある大会です。
 ここ何年かテレビ解説者として日本選手を見ていますが、体力的には外国選手に劣らないパワーがついていると感じます。ただ、コースマネジメントについて攻めるのか守るのか、はっきりと見えない場合があり、それはコースプレーの経験不足からきているものと感じています。
 いい例が、ドライバーで打って残りが150ヤード。9番か8番でも打てますが、そこは左傾斜の斜面。アイアンでティーショットをすると残りが200ヤードで平ら、実は5番か6番で打てるのです。ドライバーで飛ばすばかりがゴルフじゃありません。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エイジシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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