イノベーター理論でみるファッショントレンド マジョリティがトレンドを受け入れられないワケ

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一方、ビジネスとしてファッションをとらえたとき、マーケットの中心的存在となるのは、前掲の一般的な消費者です。一部のアーリーアダブターを含む、アーリーマジョリティとレイトマジョリティ(以下、マジョリティ)に属する人たちで構成されています。

さらに、この図にもうひとつ、オシャレ度の軸を加えるならば、左にいけばいくほどよりクリエイティブでおしゃれ度は高く、右にいけばいくほどよりベーシックでおしゃれ度は低くなります。ただ、どのカテゴリーに属する人でも、本人のファッションに対する志向ひとつで、自由に左右を移動することができます。

たとえば、「プラダを着た悪魔」の中で、アン・ハサウェイが演じた主人公のアンドレアは、もともと服に興味のないレイトマジョリティに属する女性でしたが、ファッション誌の編集部に勤め、おしゃれに目覚めていく過程で、アーリーアダプターに変身する姿が描かれていました。つまり、意識しているかどうかはともかく、自分の意志で属する場を選び、変えることは可能なのです。

では次に、この図にファッショントレンドという現象をあてはめてみます。トレンドが発表され、いちばん番左のイノベーターから次第に受け入れられ、右に向かってゆっくりと浸透していきます。同じく、ファッションショーの服も、イノベーターやアーリーアダプターが受け入れ、広め、マジョリティに拡散していくイメージです。

ファッショントレンドにみるキャズム

ここで、2つの注意点があります。ひとつは、カテゴリー間を自在に移動できる“人”とは対照的に、トレンドの流れは逆流することがありません。あくまでも左から右の一方向にしか流れないという点。

そしてもうひとつは、ここが重要なのですが、アーリーアダプターに受け入れられたトレンドや服も、そのままではマジョリティには受け入れられない、という点です。

それはなぜでしょうか?

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