AI女子駅員が大活躍「高輪ゲートウェイ」の衝撃 駅名表示を明朝体にしたのは「あの人」だった

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改札から外に出ると、AIサイネージが2台置かれていた。男性駅員タイプと女性駅員タイプの2種類で、乗り換え案内や周辺の飲食店情報など声に出して質問すると答えてくれる。

女性駅員タイプのAIサイネージ「渋谷さくら」(記者撮影)

男性タイプを開発したのはJR東日本情報システムで、駅構内や周辺の案内は的確だが、いたってまじめな印象。ところが女性タイプはアニメキャラクターで会話の最中に髪の毛を触る仕草をするなど、かなり凝った作りだ。

このキャラには「渋谷さくら」という名前が付けられており、年齢、住所、職業なども質問すると答えてくれる。会話に夢中になって後ろに行列ができたりしないかと心配になるほどのレベルだ。日・英・中・韓の4カ国語に対応しているので、外国人もクールジャパンの底力を目の当たりにするに違いない。

女性駅員は「さくらさん」

女性タイプのAIサイネージの正体は、ティファナ・ドットコムが提供するAI接客システム「AIさくらさん」。JR東日本グループのホテルメトロポリタンをはじめ、約300社に導入実績があるという。「さくらさんの基本設定は共通ですが、各社によってカスタマイズが可能です」(同社広報)。AIさくらさんも試行導入という位置づけだが、AIなので使われていくうちにどんどん賢くなる。試行導入後の本格導入が楽しみだ。

高輪ゲートウェイ駅周辺の本格的な街開きは2024年度だ(撮影:尾形文繁)

この日は公開されなかったが、23日からは駅ナカシェアオフィス「STATION BOOTH(ステーションブース)」も開業する。東京駅や新宿駅、池袋駅などですでに稼働しており、1人用タイプの通常料金は15分あたり250円。個人空間が確保され、デスクといすのほか、Wi-Fiや電源、USBコンセント、モニターが備えられており、喫茶店で仕事するよりも手軽だ。

駅周辺の再開発が終わり本格的な街開きとなる2024年度までは、高輪ゲートウェイで下車する用事がある人はあまりいないだろう。しかし、日本の最先端の技術がこれだけそろう駅は珍しい。駅構内の設備は、開業しばらくの間は混雑が予想されるため稼働を見合わせることもあるとのことだが、ほとぼりが冷めたら、未来の駅の姿を知るために下車する価値は間違いなくある。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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