契約解除は受験生のため 憲法論議するつもりない−− 後藤高志 西武ホールディングス社長

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契約解除は受験生のため 憲法論議するつもりない−− 後藤高志 西武ホールディングス社長

プリンスホテルによる日本教職員組合・教育研究全国集会の会場使用拒否問題。親会社・西武ホールディングスの後藤高志社長が公の場に初めて現れた。
(週刊東洋経済3月8日号より)

問題表面化後しばらく経った今の段階で会見を開く理由は。

私どもの考え方が十分に理解されていない。ホームページでは2月5日付で説明文を掲載したが、会見でしっかりと考えを述べたいと思った。(使用拒否の背景に)右翼団体からの圧力は一切ない。私自身がこの件を最初に聞いたのは昨年11月初め。集会が予定された2月1~2日は受験シーズン。一生懸命勉強した生徒に(集会反対の街宣活動による)混乱の中で受験させていいのか。持ち株会社社長の立場としてプリンスホテル経営陣に問いかけた。最終的に解約やむなしというホテル側の判断を了とした。

教研集会が荒れるのは社会常識。予約受け付け自体がミスでは。リストラでホテル業のノウハウが落ちているのか。

今後の反省材料にしたい。約40の事業所を閉鎖・売却したが、従業員は今残っているホテルにすべて引き受けてきた。事業再構築の中でガバナンスも再構築している。経営責任については、しっかりやっていくことが私どもの責任。「集会の自由」については、ここで憲法論議をするつもりはない。事業会社として顧客の安全・安心をしっかり考えていくことが責務だ。

説明を聞くと、怒りの矛先が日教組に向いているようだが。

怒りの矛先というのはない。私どもは怒っているわけではない。私の気持ちの中でいちばん大きいのは(当日周辺で入試のあった)7000人の受験生。僕の中では、自分が受験生だったときのピリピリした緊張感が強く残っている。親御さんも同じではないか。それは皆さんも一緒だったのでは。受験生に取り返しのつかないことがあってはならない。(解約を無効とした)司法判断があった1月30日からでは、現実問題として開催準備は追いつかなかった。

警察と協力して警備すれば受験生への被害は防げたのでは。

警備すれば本当に受験が万全に行われるのか。銀行員時代に街宣活動があり、裁判所への仮処分申請などで対応したが、大変な騒乱状態になる。正常な受験が行われるとは考えられない。明日の日本を担う若い世代には万全の態勢で受験してもらいたい。それは当たり前の話。私は今の質問には賛成できない。

批判の声は届いていないか。今回の件は結果的に右翼団体に協力したことにならないか。

「集会の自由」を侵すのはけしからんとの批判が多い。どういった格好で(この問題が)波及するかは、専門家でないのでコメントしかねる。圧力を受けて判断が左右されることはない。手を貸したということはない。(エセ右翼など)反社会的勢力との決別は過去から続けてきた。今後も一つひとつ対応したい。
(週刊東洋経済:高橋篤史 撮影:吉野純治)

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