「バイト稼ぎすぎ」の大学生が親にかける大迷惑 思わぬところでたっぷり税金をとられるかも

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子どもが稼ぐことで親の家計に及ぼす影響を見てきましたが、この子どもの年齢について見落としやすい盲点があります。それは、子どもが「早生まれ」の場合、「遅生まれ」に比べて扶養控除で損をする、ということです。

繰り返しますが、扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象となる扶養親族がいる場合に一定の所得控除が受けられる制度です。子どもがいる場合、16歳以上の一般の控除対象扶養親族で38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族では63万円の控除を受けられます。19歳以上の子どもを持つ納税者(扶養者)は大学進学など家計の教育費負担が大きくなることから、それを軽減する目的で控除額を増やしていると思われます。

ところが、大学生の子どもを持っていても特定扶養親族控除を受けることができないケースがあるのです。扶養親族は「学年」ではなく、12月31日時点の「年齢」で判断するからです。現役入学した早生まれの大学1年生であれば12月31日時点では18歳、一般の控除対象扶養親族に該当します。さらに大学2年生(19歳)から大学4年生(21歳)までは特定扶養親族に該当することになりますが、社会人1年目(22歳)で扶養から外れることになって、特定扶養親族の控除の適用がなくなってしまうのです。

早生まれは支給期間が短くなる「児童手当」

Aさんの息子は「早生まれ」で、大学に現役入学しました。したがって、16歳だった高校2年生から、18歳の大学1年生までの3年間は一般の控除対象扶養親族に該当し、Aさんは38万円の控除を受けてきました。そして、Aさんの息子が大学2年生から順調に卒業・就職した場合、社会人1年目の期間までは19歳から23歳未満の特定扶養親族に該当することになります。

しかし、ここで問題になるのは、扶養控除は年間の給与収入103万円以下(合計所得金額48万円以下)という条件があることです。Aさんの息子が社会人1年目、22歳で給与収入を得るとして、年収103万円は優に超えるでしょうから、Aさんは特定扶養親族控除の63万円がなくなるでしょう。同様に住民税の特定扶養親族控除45万円も受けられなくなると思われます。

子どもが早生まれであるための不平等、といえるのではないでしょうか。これは扶養控除に限ったことではなく、児童手当制度も同様に早生まれは不利です。児童手当は子どもが生まれてから中学校修了までの支給ですから、4月生まれと3月の早生まれでは支給期間が丸1年違います。

これらは制度上の問題なので文句をいっても始まりません。大事なことは、事実を知ったうえで対策をしておくことではないでしょうか。例えば、教育費を備えておく、あるいはiDeCo(個人型確定拠出年金)など税制優遇がある制度を賢く利用する、といったことも考えておきたいところです。

三原 由紀 プレ定年専門ファイナンシャルプランナー

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みはら ゆき / Yuki Mihara

バブル期にOLを経験、子育て中で外に出られないときに同じアパートに住むママ友3人で株のネットトレードを始め、夫にナイショのままコッソリ1000万円以上の利益を達成。子供の小学校入学を機に保険代理店でパート開始し、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感して、自らの家計を再生。40代・50代に向け、プレ定年夫婦専門FPとして「お金で揉めない夫婦関係を構築」「50代からでも間に合う家計立て直し」を提案・実行支援する。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。「確定拠出年金相談ねっと」認定FP。三原由紀公式サイト

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