ゾゾシューズがゾゾスーツの轍を踏んでない訳 サイズ計測だけではない「相性度」による推奨

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ZOZOでは、ZOZOSHOESのフィッティング精度を高めるため、ZOZOTOWNアプリから教師データを集める仕組みをすでに取り込んでいる。過去にZOZOTOWNで靴を買ったことがあるユーザーがZOZOMATでサイズ計測すると、その靴のフィット感についてユーザーに尋ねる。

足形と実際に購入した靴のフィーリングについての機械学習を重ねることで、推奨サイズの精度を高めることが狙いだ。

伊藤氏はZOZOSUITのときのようにプライベートブランドで靴を作ることはないと断言するが、一方で靴メーカーとの協業は進めていきたいと話す。

ZOZOSHOESに続く、今後の計画は?

例えば現在、リーボックとオリジナルのカラーリングを施したスニーカーを企画、販売しているが、将来はZOZOMATを通じて集まってきた足形に合わせ、「足形の特徴」ごとに選べるサイズラインナップを提供するといったアイデアも視野に入れている。

また3Dスキャナーに匹敵する精度が出ていることから、パターンオーダーやセミオーダーを請け負うブランドとの提携などにも挑戦したいともいう。

ZOZOSHOESの発表会ではZOZOSHOESに続く新領域開拓についても意欲を見せていた。今後、どのような計画があるのだろうか?

ZOZOMATを手にする、ZOZO取締役兼COOの伊藤正裕氏(筆者撮影)

「ZOZOTOWNは、感覚的には“ショッピングアプリ”よりも“音楽アプリ”に近いと考えている。性別や年齢層といった属性に関係なく、ファッションに興味を持っている人すべてに、興味をひく情報を提供する。ZOZOMAT、ZOZOSHOESに続くものとして取り組んでいるテーマはある。すでにテストも行っていっているので、その結果が出ればあらためて発表したい」

とはいえ、まずはZOZOSHOESで結果を出すこと。

筆者自身、ZOZOMATが到着したその日に計測、革靴を注文してみたが、過去に経験のないブランドにもかかわらず、ピッタリとフィットする商品が届いた。こうした経験、評判が広がれば、「靴をネットで買う」ことへの抵抗感を下げることは可能だろう。

少なくとも技術面、アプリとしての実装面において、ZOZOSUITにおける教訓は生かされているようだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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