OPEC総会は「新型肺炎」にどう対処するのか 世界景気低迷に新型肺炎ショックが重なる

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2019年9月にサウジアラビアの主要石油設備が攻撃を受けた際も同様だ。中東最大の産油国であるサウジは日量約1000万バレルもの生産量を誇る。ドローンなどによる攻撃の影響で、生産量の半分近くが一時的に失われるとの見通しが報じられると、原油価格は約15%上昇して62.9ドルをつけた。その後、早期復旧の見通しが出ると、50ドル前半まで値を下げた。

2020年1月にはアメリカがイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した際も、原油価格の高騰は一時的なものにとどまった。だが、緊張を引き起こす火種が消えたわけではない。

「OPECプラス」は結束を示せるか

ではこの先、産油国はこの原油安を静観し続けるのだろうか。3月5~6日にはウィーンで、石油輸出機構(OPEC)とロシアなどOPEC非加盟国を含めた閣僚級会合が行われ、「OPECプラス」としての方針を決定することになる。

OPECを主導するサウジにとって現状の油価は看過できるものではない。原油価格は産油国にとっては国家財政にも関わる重要問題だ。サウジの財政収支を均衡させる原油価格は1バレル70ドルと言われており、現在の水準からはほど遠いといえる。

OPECプラスは2019年12月に開かれた会合で、減産量を日量50万バレル拡大して170万バレルとすることで合意。それに加えてサウジなどが自主的な追加減産を行うことも示した。この協調減産をさらに拡大させるのかが議論の焦点になる。

藤山氏は「減産幅がさらに拡大されるのか、ロシアも含めたOPECプラスとしての結束を示せるか」がポイントだと説明する。

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