「弱さの情報公開」が大事だ--『男おひとりさま道』を書いた上野千鶴子氏(東京大学大学院人文社会系研究科教授)に聞く


--在宅ひとり死は家族に抵抗があるのでは。

ひとり死と孤独死とは断然違う。孤独死は孤立した生の結果。死後何カ月も経って発見される孤独死といわれるケースは、55歳から65歳までの高齢者カテゴリーに入らない男性に集中している。つまり制度の谷間に落ちて、誰からも手を出してもらえない人たち。高齢者なら介護保険の対象だから、ケアマネジャーを付けられるし、65歳以上の単身者だったら、民生委員が見て回る。

その対象に当てはまらない孤独死は、男性に圧倒的に多い。失業に見舞われ、高齢者の年齢に達しておらず、介護保険も使えず、生活保護を申請しても十分働けると保護を受けられない人たちだ。つまり孤独死とは社会的排除の結果であって、社会問題。それと、家で最期のときを迎える在宅ひとり死とは全然違う。

--在宅ひとり死はこわくないと。

在宅ひとり死でも、ケアマネが付き、訪問介護のヘルパーさんがきて、家族の出入りがあり、緩やかな人のネットワークがあれば、ひとりで暮らしてきたように、ひとりで死んでもいいのではないか。孤立しているわけではないから発見も早いはず。世間にも迷惑はかからないだろう。

--この本には適度に「下半身」の話を盛り込んでいますね。

男性版だから下ネタを入れないとうそになる。これは意識して入れた。男性の行動と心理を観察し、取材してきた。だからエビデンス・ベースド、やはり社会学者の書いた本だと言ってください。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

うえの・ちづこ
専門は女性学、ジェンダー研究。1948年生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。平安女学院短期大学助教授、シカゴ大学人類学部客員研究員、京都精華大学助教授、国際日本文化研究センター客員助教授、ボン大学・コロンビア大学・メキシコ大学各客員教授、東京大学文学部助教授等を経る。


法研 1470円

  

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