「新型コロナウイルス」は一体どこから来たのか 最新の研究では「昨年9~12月の発生」を示唆

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これまで、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園、華南農業大学、中国脳科学研究所等の機関の研究員が新型コロナウイルスのハプロタイプ(訳注:片親に由来する遺伝的な構成)の進化状況を推算し、初期の感染拡大が12月8日に起こっていることから、ウイルスは11月下旬から12月初旬にはすでにヒトからヒトへの感染を始め、さらに華南海鮮市場(訳注:当初、新型コロナウイルスの発生源と見られていた武漢の市場)以外の場所から感染が始まった可能性が高いと考えられている。

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南方医科大学の研究によると、新型コロナウイルスとコウモリの持つウイルス・RaTG13の間には時間的な進化関係が存在していないという。一方、当該研究ではCoVZC45、SARSコロナウイルスとの間には明確な陽性の時間進化シグナルが見つかったとしている。このことが表しているのは、新型コロナウイルスがRaTG13の進化により発生したものである可能性が低いということだ。

もしRaTG13から来たものであるのならば、陽性の進化速度が存在するはずだ。また、新型コロナウイルスとコウモリ由来のCoVZC45等のコロナウイルスとの間には一定の関係がある可能性があるが、この点に関してはさらなる実験を経て立証する必要がある。

コウモリの持つウイルス・RaTG13は現在のところ新型コロナウイルスとの類似度が最も高いウイルスとして知られている。当該研究グループの推算によると、この2つの全遺伝子配列の類似度は95.9%に達しており、新型コロナウイルスとCoVZC45との場合は87.5%の類似度にとどまっている。

論文の著者の1人である南方医科大学教授の張宝氏は財新の取材に対し、「ウイルスは感染の過程で変異することがあり、その変異には一定の規律がある」と話している。

起源はセンザンコウとコウモリか?

新型コロナウイルスの発生源については、科学界において多くの研究が行われている。これまで香港大学、華南農業大学、広東省生物資源応用研究所等の機関の研究グループが(訳注:全身がウロコで覆われた希少な哺乳類である)センザンコウのコロナウイルスに対しての研究を実施した。

華南農業大学の研究グループは、「センザンコウコロナウイルスと新型コロナウイルスのアウトブレイクの間には直接の関係性は見つからなかったが、新型コロナウイルスの発生源がセンザンコウコロナウイルスとコウモリの持つウイルスであるRaTG13が組み合わさって誕生した可能性はある」と考えている。

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