「糖質ゼロの調味料」が今密かに売れているワケ キング醸造が見つけたニッチだが確かな需要

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糖質ゼロの調味料、その意外なニーズとは?(写真:筆者撮影)
ダイエットのため、糖質制限をする人が年々増えている。ただし糖質制限の道は険しい。食事の際に炭水化物を抜けば糖質摂取はかなり減らせるが、本気でやろうと思えば、おかず、たとえば煮物に入っている調味料にも糖質がこんなに…と気になってしまったりする。
そんな人の助けになるのが「糖質ゼロの調味料」だ。開発しているのは、キング醸造。料理酒シェアで1位の日の出料理酒、日の出みりんなどの主力商品を持つ食品メーカーだ。
同社は2017年から2019年にかけて糖質ゼロの料理酒、みりん、合わせ酢を次々と発売し、自社サイトで売り上げを伸ばしているという。値段はいずれも400mlで300円(税込み330円)程度と手頃だ。
いったいどんなニーズがあったのか。キング醸造マーケティング開発部の竹山慎一郎さんに、開発した背景や現在の売れ行きについて聞いた。

糖質ゼロは一部の人に強い需要があった

――ここ数年、糖質制限が流行っていますが、糖質ゼロの調味料はありそうでなかったと思います。どのような経緯で開発したのでしょうか?

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当初は、いろいろなタイプの料理酒やみりんを出すなかでのネタの1つ、くらいのものでした。2011年ぐらいに糖質ゼロや糖質オフのビールが発売され、その翌年から糖質ゼロの日本酒が市場に出てきました。そこで、われわれも糖質オフの清酒を出そうと思ったんです。

なんとか糖質ゼロの清酒自体は造れたのですが、残念ながら、薄っぺらい味になってしまいました。すでに大手が出している市場で勝負するには、よっぽど味がいいかコストメリットがないと難しいと感じ、そこで調味料に舵を切りました。われわれはもともと料理酒やみりんなど調味料のメーカーですし、まだ市場にはどこからも出ていませんでしたので。

――そして2017年秋に糖質ゼロの料理清酒を発売し、2018年春にみりんを発売しました。発売後は想像を超える反響があったそうですね。

いま思うと、発売前には糖質制限の世界をしっかりとは認識できていませんでした。減塩に比べれば、糖質制限は実践している人は少ない。だから、手頃な価格でおいしい糖質ゼロ商品を作れば、手軽に実践できるようになるのでは……程度の考えでした。

ところが、いざ発売してみたら、一部の方から強い反響がありました。糖尿病の方など、糖質を制限しないといけない人たちです。厳密にコントロールしている人やその家族から「ありがとう! これがあれば家族で同じ食事ができる」「以前と変わらないわが家の味が、また食べられるなんて」などの言葉をいただきました。

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