アメリカの経済政策を批判する人たちの誤り--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授


 現在、アメリカや世界各国で中道的な経済政策を主張してきた経済学者は厳しい批判にさらされている。米シンクタンクのエコノミック・ポリシー・インスティチュートの調査によると、大多数のアメリカ人は「この1年間の経済政策は、マンハッタンのミッドタウンとロンドンのカナリーワーフに本店を置く金融機関を豊かにしただけだ」と考えているという。

アメリカでは共和党の議員が、今までの政策にことごとく異を唱えている。たとえば、雇用を創出するために短期的に財政赤字を拡大するような財政支出の発動に反対しているし、金融システムの支援にも反対している。また、金融機関に対する政府の監視強化や金融機関の国有化にも反対している。金融機関自体も、金融危機が去って通常の業務に戻り、今では政府の金融部門の規制強化を阻止するのに熱心だ。規制改革法案の議会での審議を阻止したり、遅らせるために議員にせっせと選挙資金を献金したりしている。

私は、別に近年の政策が理想的だったと主張しているわけではない。財務省とFRB(連邦準備制度理事会)はリーマン・ブラザーズとAIGを破綻させたが、もし私が13カ月前に責任ある立場にあれば、債務の株式化によって保証されているという条件付きで、両社の債務を額面で買い取っていただろう。そうすれば金融システムの機能を維持するだけでなく、金融機関の株主や“影の銀行システム”の出資者たちを厳しく罰することができたはずだ。そうしていれば、今になって金融機関のリスク管理は十分で、改革は必要ないなどと言い出す者は出てこなかっただろう。

もし私が19カ月前に責任ある立場にあれば、ファニーメイやフレディマックを国有化し、金融財政政策の目標をフェデラルファンド金利から住宅ローン金利にシフトさせていただろう。1825年以降一貫して危機が発生したときの金融政策の目的は、金融市場が大量失業を引き起こすような価格シグナルを実体経済に送らないようにするために、資産価格を支えることであった。ファニーメイとフレディマックを国有化し、両社を使って住宅価格を安定させることが、その目的を達成する最も簡明かつ容易な方法だった。

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