パソコン、携帯がネット販売に流れる中国、店頭が賑わうのは“アングラ”携帯電話だけ?

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 筆者は先日、中国で携帯電話を購入した。筆者の滞在する都市で最大の携帯電話市場でその機種の値段を聞くと1200元(約1万6000円)とのこと。Amazon中国では700元だったので、800元でどうかと値下げ交渉したが、店員は首を横に振るばかりだった。その後中国で最も人気のオンラインショッピングサイト「淘宝網(タオバオ)」に出店する1店舗で購入したが、そこでは400元(約5400円)で購入できた。

こうしたネットとリアル店舗の価格差は、中国各地の電脳街にも当てはまる。中国を代表する電脳街の北京の中関村でさえも客が激減し、かつテナント料が高いとあってオンラインショッピングサイトには太刀打ちできず、電脳ビルに店のない空間がぽつぽつと出てきている。

しかし、例外的に元気なリアルのIT系市場もある。出稼ぎ労働者や田舎からの学生をターゲットとした、「山寨機(シャンジャイジ)」と呼ばれる激安ノンブランド携帯電話(一般的にはブランド品をコピーし、規制当局の認可も受けていない海賊版の携帯電話機)を販売する店が密集する携帯電話市場がそれだ。

デジタル製品でさえ比較的高価なモノを持てばステータスをアピールできる中国で、オンラインショッピングを利用する大半の中産階級以上の人々は、激安な山寨機には見向きもしない。しかし白モノ家電が家に無い貧しい人でも携帯電話は必需品であり、そうした人々に山寨機は歓迎されている。彼らの多くはインターネットを利用しても、ネットカフェでゲームやチャットや音楽ビデオ視聴がせいぜいで、オンラインショッピングはまず利用しない。家電下郷では政府指定のメーカー製品が対象となるが、13%引きをしたところで、メーカー不詳の山寨機の激安ぶりには到底及ばない。

結局のところ、中国においてIT製品は、ざっくり中産階級以上のオンラインショッピングと、それ以下のノンブランド製品市場の2極化が起きている。今後オンラインショッピング市場がまだまだ大きくなることが確実視される中で、他の製品ジャンルもそれに追随することだろう。

やまや・たけし
中国内陸部在住のIT専門ライター、中国のIT事情を中心に取材・執筆。著書に「新しい中国人 ネットで団結する若者たち(ソフトバンク新書)」。

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