日テレが、Hulu買収で仕掛ける「動画革命」 船越雅史・コンテンツ事業部長に聞く(上)

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 2月28日、日本テレビ放送網(日本テレビ)は米国の定額動画配信サービス「Hulu」の日本事業を譲り受けることを明らかにした。これによって早 ければ4月から、民放として初のSVOD(Subscription Video On Demand:定額制動画配信)サービス事業に着手することになる。
 テレビとスマートフォンを組み合わせて視聴するソーシャルテレビサービ ス「JoinTV」を独自開発するなど、他局の一歩先を歩き、テレビとインターネットとの融合に取り組んできた日本テレビ。また新たに、Huluの日本事 業買収という大きな賭けに出たそのワケを、日本テレビ放送網・事業局コンテンツ事業部長の船越雅史氏に聞いた。

“お見合い”の第一印象はよくなかった

――どのような経緯で、米国Hulu,LLCから日本事業を譲り受けることになったのでしょうか?

米国Huluとは、Huluが日本に進出する前からのお付き合いがあります。かれこれ5年ほど前、2008年12月には、海外戦略の一環として日本の放送局では初めて、米国Huluで「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「進め! 電波少年」などのバラエティ番組を配信したことがありました。日本ではHuluがほとんど知られていなかった時代です。結果を言うと、日本のお笑いはアメリカでは理解されず、今ひとつでした。

日本のバラエティ番組はよくできているんですよ。ですが、演者さんに依存している部分が大きくて、演者さん同士の立ち位置、背景を理解していないと面白くないんですよね。たとえば、お笑い芸人ココリコの遠藤さんが、ダウンタウンの浜田さんをパチンとたたく。浜田さんがどんな人か、遠藤さんは浜田さんの後輩芸人だということを知っていて、初めて笑えるのです。この面白さが米国では理解されなかった。海外進出だ!と一生懸命やったのに、苦労した割には番組が売れなかったので、“お見合い”の第一印象は好ましいものではありませんでした(笑)。

約1万本のドラマや映画を揃える動画配信サービス「Hulu」。日本では会員数が伸び悩んでいる

それから1年後、日本進出に当たって、米国からHuluの方々があいさつに来られました。これは弊社だけではなく、各局、回られたようです。Huluにコンテンツを提供してほしいと言われましたが、このときは様子をみることにしました。すでに自社でも日テレオンデマンドを通して番組を配信していましたし、国内の配信事業社にも販売していましたが、いわゆる“寺銭”をどの程度要求されるんだろうと、米国企業相手に疑心暗鬼になっていたんですね。無条件で30%持っていかれるようでは困る。実際はそんなことはなかったのですが。

Huluが日本への進出を果たす2011年9月前後は、Hulu側が「コンテンツを出しませんか?」と言い、テレビ局側は「いやぁ、まだ他局が出していないのに、弊社だけ抜け駆けするような格好で出すのは気が引けますよ」というやり取りが続いていました。

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