(第49回)“1/2”リーマン予想(後編)

桜井進

●リーマン予想とは何か
 さて、前置きが長くなってしまった。結論を急ごう。リーマン予想は素数の出現リズムに関係している点こそが重要であり大きな価値がある。だから、リーマン予想が証明されることは、素数の深い闇の部分が明らかになることを意味するのである。つまり、素数判定や素因数分解の困難さが取り除かれ劇的に容易になるということである。 このことがいかに重大な意味をもつか、賢明なる読者のみなさんならば理解されたはずである。

 それではリーマン予想を述べよう。しかし説明するのは容易なことではない。"リーマンゼータ"、"自明でない零点"、"直線 Re(s)=1/2上にある"、つまりリーマン予想の全文すべてがまさに自明でないからである。それでも、リーマン予想を解説、いや"語る"ことにしたい。

 繰り返しになるが、1859年の論文「与えられた数より小さい素数の個数について」においてリーマンが言いたかったことは「素数の個数」についてであった。これより100年前、1760年にオイラーによってはじめて素数の個数について言及されている。それが素数定理である。
素数定理(1760年オイラーが発見、1896年アダマール、プーサンが証明)
 その後、ガウス、ルジャンドル、ディリクレ、チェビシェフと名だたる数学者が同じ発見をしていった。そして、リーマンは素数定理よりももっと精密な素数の個数を示す公式を探し出すことに成功した。それがリーマンの素数公式である。
<画像クリックで拡大>
リーマンの素数公式(1859年リーマンにより発見、1895年マンゴルトが厳密に証明)
 これは見るからに素数定理よりも複雑である。この公式の真ん中部分に1/2+αί、1/2−αίとある。ίはί2=−1となる虚数であり、この虚数を使って表される数が複素数といわれる数であるが、この二つの複素数の値をすべてもってきて足し合わせた(Σは総和の記号)のが素数の個数π(x)(x以下の素数の個数)に等しいという公式なのである。そして、1/2+αίと1/2−αίこそが、リーマンゼータς(s)のすべての非自明な零点であるはずだというのがリーマン予想なのである。

 ここで聞き慣れない「零点」について解説しておこう。xの関数f(x)が例えば、
f(x)=(x−a)(x−b)(x−c)であるとき、a,b,c はf(x)の零点である。
という。これは次のように言い換えてもよい。
方程式f(x)=0の解がx=a,b,cであるとき、a,b,cはf(x) の零点である。
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