利権化する「エコ」 潤う環境予算のウラに深い闇

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 全国5万のGSのうち系列店の8割を押さえる石油連盟がそっぽを向いているため、独立系に働きかけざるをえないからだ。大阪府のある独立系のGSでは、2年前、元売りの社員が来て「E3の販売はやめてもらいたい」と頼まれた。首都圏に本社のある独立系の業者は「『E3を扱うならガソリンを卸してやらない』と卸売り業者から圧力があって見合わせた」と打ち明ける。

石油連盟は、バイオエタノールと石油系ガスを合成した「ETBE」をガソリンに混ぜたバイオガソリンを販売する方針で動いている。ETBEは石油元売りが責任を持ってバイオガソリンを作れるが、E3はエタノールを勝手に混ぜる業者が出て不良ガソリンが出回るおそれがあるなどと石油連盟は説明する。

だが環境省は「E3になると商社などが新規参入し、元売りの独占体制が崩れるのを恐れるから」(幹部)と見る。ETBEを混ぜたバイオガソリンを扱うGSは10月現在で920店あるが、混合率は1~1・5%で、石油連盟が目標にする21万キロリットル(原油換算)に遠く及ばない。

ETBEは08年度末まであった国の補助金が打ち切られた。このため参加継続を渋るGSが多く、業界トップの新日本石油が責任を取る形で約900店で販売を続けている。コストを下げるためにバイオエタノールの混合率を7%から1%台に減らしたうえでだ。

E3の普及が進まないのは、京都議定書の1990年比6%減の達成のため05年に閣議決定された目標達成計画があいまいだからだ。バイオ燃料は10年までに50万キロリットル(原油換算)の生産・利用を掲げるが、策定前に、資源エネルギー庁と石油連盟とが交渉、石連はETBEで21万キロリットルを確保し、それ以外は責任を持たないことで合意した。21万キロリットルの達成が危ぶまれる石油連盟はE3に見向きもしないし、国から求められても販売する余力はない。

広告代理店に巨額の税金が流れる

環境省にとって温暖化は打ち出の小づちだ。水質汚染を担当する環境管理局など予算の削減にさらされる地味な部局を尻目に、地球環境局は予算を増やし続けるメインストリーム。そこに落とし穴がある。

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