日本の株式市場に明日はあるのか?

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国内各取引所への天下り

 下の表をご覧ください。天下りの数を調べたものです。

私は、『能力を持った役人のOBがその能力を社会のために役立てていただくこと』は問題ないと思います。ただ、サッカーの審判団のトップがサッカーチームの監督になって、そのチームが試合をしたとき、相手のチームがフェアな審判が行われるか不安になるのではないか?と思います。つまり、取引所を監督する役所の有力者(つまり審判団のトップ)が審査される取引所(つまりチーム)に入って、フェアな審判ができるか?ということです。ちょっと説明し辛いところがあります。

 また、役所の方の能力を必要とするといっても、東京穀物商品取引所のように4名のOBが必要だとは思えません。役所は、天下り先を確保するため、工業取引、農業取引を一つの法で見ることに反対したと言われないように「桃の木の下で冠を正さず」とすべきではないでしょうか。

 そして最後に、私のライフワークである中小企業用の株式市場の整備です。

 この提案を経済産業省の幹部にお話しましたら、「中小企業は上場を望んでいない」といった回答を頂きました。これは、経済政策を所管される方とは思えないミクロな意見ではないでしょうか。私も色々な企業経営者にお会いしていますが、「安定した経営をしている経営者は、市場からの資金調達を望んでいなくとも、急成長しているものづくりベンチャーは資金を必要としていますし、また、安定を望んでいる経営者にもバランスシートを改善していただくためにも市場が必要だと考えます。」マクロな視点から制度を整備し、産業を育成するのが経済産業省の役割だと思いますが、どうなのでしょう?

藤末健三(ふじすえ・けんぞう)
早稲田大学環境総合研究センター客員教授。清華大学(北京)客員教授。参議院議員。1964年生まれ。86年東京工業大学を卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省、環境基本法案の検討や産業競争力会議の事務局を担当する。94年にはマサチューセッツ工科大、ハーバード大から修士号取得。99年に霞ヶ関を飛び出し、東京大学講師に。東京大学助教授を経て現職。学術博士。プロボクサーライセンスをもつ2女1男の父。

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