世界の自動車業界は、回復途上にいる《ムーディーズの業界分析》

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コーポレートファイナンス・グループ
VP−シニア・アナリスト 臼井 規

 ムーディーズは2009年10月16日、世界の自動車業界の見通しをネガティブから安定的に変更した。この変更は、過去12カ月にわたる自動車の大幅な減産が緩和し始め、非常に緩やかな回復基調が定着するであろうとのムーディーズの見方を反映している。安定的との見通しは、自動車業界の事業環境が、大幅な改善も悪化もしないだろうというムーディーズの見解を示している。

また、今回の世界の自動車業界に対する業界見通しの変更は、個々の自動車メーカーの格付けに影響を与えるものではなく、個別企業の格付けは、引き続き各社のファンダメンタルズや財務状況を反映するものである。

しかし、自動車市場の動向は地域によって事情は大きく異なっている。西欧における需要は来年も弱含みで推移するであろう。欧州の主要市場で実施されたスクラップインセンティブ制度による需要の前倒しが、09年の販売台数を下支えした。ムーディーズは、このような自動車買い替え支援策が終了するか、もしくは、消費者にとってのメリットをある程度減らして期間延長するか、どちらにしても、10年の新車登録台数は減少するだろうと予想している。特に、年初来8月までの新車登録台数が前年同期比27%の伸び率を記録したドイツではその傾向が顕著であると思われる。

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