モノより思い出ではなく、モノ=思い出に 「コミュニケーション」が高めるモノの価値

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モノを通じたコミュニケーションは人生に影響を与える

もうひとつ、「コミュニケーション」にフォーカスしたプロダクトをご紹介させてください。「マザーハウス×カタリバ ペンケース」というものです。このプロダクトは2013年夏に私たちが販売した商品ですが、モノを通じて「コミュニケーション」を作るという点で同じく新しい仕組みが入っているものです。

実際のペンケース。大人が使いやすく、という思いが込められている

このプロダクトのスタート地点は、NPO法人カタリバが東日本大震災の被災地で運営している「コラボ・スクール」の中学生・高校生が、マザーハウス本店を訪問したことから始まります。半日の滞在の中で、10人ほどの中学生たちが、3~4人のチームに分かれてペンケースのデザインをして発表しました。そして、その発表したデザインをフェイスブック投票にかけて、最終的にひとつの案に絞り込み、全店で発売しました。

ただ、普通に販売するのではなく、商品一つひとつに切手付きハガキを同封しました。そこには、子どもたちの学ぶコラボ・スクールの住所が記載されていて、お買い上げいただいたお客様がメッセージを書くと、直接、そのハガキが子どもたちに届く仕組みとなっています。

この商品も「コミュニケーション」をデザインすることを意識して作られています。最終的にフェイスブック投票で選ばれたペンケースをデザインしてくれた黒澤くん(当時中学3年生)は、描いてくれたデザイン画のレベルが高かったのですが、彼自身は人生の中でそのように言われたことはあまりなかったそうです。

真剣なまなざしでデザインする黒澤くん(中央)
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