(第24回)いつの間にかのスリム法・その2

山崎光夫

 わたしはやや肥満で尿酸値が高いほうだったので生活の基本を改善しようと考えた。まず、食生活である。
 しかし、いわゆる若い女性が志向するダイエットを実行するつもりは毛頭なかった。

 現在、ダイエットというと、痩身をイメージする。しかし、本来、ダイエット(diet)は「食事療法」の意味のギリシャ語からきている。痩せることとはあまり関係ない。
 それはさておき、わたしはもともとなまけものなので、寒い朝に起きて毎日散歩するとか、ジョギングする、1日1万歩をノルマにウォーキングする、ジムやプールに通うなどできない性分である。健康のためとはいえ、挑戦したとしても三日坊主で長続きしないのはわかっている。根っからのなまけものなのである。

 それでもたまに近所を散歩したりもする。すると、川べりに遊歩道が整備されたこともあって、ウォーキングやジョギングする人がじつに多いのがわかる。ところが皆さん、必死の形相なのである。かなりのスピードですれ違い、また、追い抜いて行く。わたしはひけてしまって、思わずよけて道を譲ることとなる。もう少しのんびりやればいいのにと思うのはなまけものの考え方なのだろう。
 しかし、なまけものはなまけものなりに体重減少をはかり、さらに、健康を維持する方法はないかと模索した。その結果、ごくごく普通に取組む方針にした。

 さて、食生活の対策だが、食事量を気にせずに何でも食べるが、二点を心がけた。
 一つはバランスのよい食事である。だが、栄養学には疎い。そこで考えたのが、ご食事ならぬ、「5色事(ごしょくじ)」である。これは漢方医学の研究の合間に思いついた方法で、中国の陰陽5行思想の応用である。万物を5行(5元素--木・火・土・金・水)に当てはめる発想が中国の古代思想にある。
 そこで食事では、5色(黒・白・黄・青・赤)の食品をとるようにこころがけるのである。以下、目安の食品をあげてみる。調理も加わるので色分けは厳密ではない。
黒--黒豆、黒ごま、ひじき、海苔など。
白--白菜、大根、もやし、白米、食パン、白身魚、豆腐、牛乳、ヨーグルトなど。
黄--かぼちゃ、黄な粉、みかん、卵の黄身など。
青(緑も含む)--ほうれんそう、小松菜、ピーマン、いわし、さんま、さば、あじなど。
赤--トマト、にんじん、赤身肉、まぐろ、りんご、柿など。
 1日に30品目を摂取するのが正規の栄養学ではある。
 5色事法では、
 「今日の3食で5色とったか」、と振り返るだけで栄養バランスがチェックできる。なまけものにはちょうどよい目安であろう。わたし自身はこの方法で何ら支障なく来ている。

 もちろん、味も大切である。
 近頃、総じて食べ物が甘く、柔かく、濃くなっている。故意に食べ物を不味くしているのではないかと勘ぐりたくなるのはわたしだけだろうか。素材本来の味を味わってこその料理だと思うのだが、時代遅れの意見なのかもしれない。
 わたしはなるべく生で、旬のものを、薄味で味わうようにしている。美味しさを追求する点ではなまけてはいられない。もう一点はゆっくり食べることであるが、詳細は次回に。
山崎光夫(やまざき・みつお)
昭和22年福井市生まれ。
早稲田大学卒業。放送作家、雑誌記者を経て、小説家となる。昭和60年『安楽処方箋』で小説現代新人賞を受賞。特に医学・薬学関係分野に造詣が深く、この領域をテーマに作品を発表している。
主な著書として、『ジェンナーの遺言』『日本アレルギー倶楽部』『精神外科医』『ヒポクラテスの暗号』『菌株(ペニシリン)はよみがえる』『メディカル人事室』『東京検死官 』『逆転検死官』『サムライの国』『風雲の人 小説・大隈重信青春譜』『北里柴三郎 雷と呼ばれた男 』など多数。
エッセイ・ノンフィクションに『元気の達人』『病院が信じられなくなったとき読む本』『赤本の世界 民間療法のバイブル 』『日本の名薬 』『老いてますます楽し 貝原益軒の極意 』ほかがある。平成10年『藪の中の家--芥川自死の謎を解く 』で第17回新田次郎文学賞を受賞。「福井ふるさと大使」も務めている。
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