2カ月でパソコン販売6万台! 年商2000億円「大学生協」の強さのヒミツ

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 価格の優位性は大きい。各大学生協が商品をばらばらに仕入れていたら、安くはならない。そこで家具やパソコンなどを、大学生協連が実質一手に仕入れる。書籍の場合も、取次の日販との窓口を大学生協連に一本化し、条件交渉を行う。春だけで、教科書を中心に書籍は100億円売れる。加入者に対する書籍の10%までの割引きができるのも、仕入れ段階から価格交渉しているためだ。

価格競争の面で有利な要因がもう一つある。大学に本来支払うべき施設賃貸料がほぼかかっていないことだ。大学生協は地域の生協同様に、「消費生活協同組合法」に基づき法人格を有する非営利組織。戦後、大学に戻ってきた学生の食生活、日常生活を立て直すために、学生自らが組織を作り上げた。そのため、大学側も賃貸料を課さないのが普通だ。

大学生協の食堂で定食を食べた経験のある人は多いはず。1食平均380円の値付けが実現できるのも、賃貸料がかかっていないためだ。

資金繰りでいえば、学生が加入時に支払う出資金1万~3万円(脱退時に無利子で返却)も無視できない。出資金に厚みがあるため、設備投資資金には不自由しないという。

A君が指摘した大学生アルバイトの存在も大きい。店頭スタッフの多くはその大学の学生が務めている。そのため、学生の側に立ったアドバイスがしやすい。パソコン等機器の販売では特に力を発揮する。

こう見てくると、大学生協のビジネスはバラ色のように見えるが、単純ではない。まず問題となるのが営業日数の少なさだ。年間250~300日程度しか営業日数がなく、しかも学生がまとまって大学に来る日となると、同150~170日しかない。3~4月の入学・新学期シーズンに年間売り上げの4分の1が集中するのも、効率性の点では痛い。

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