第3回 ドイツの学校には部活がない?

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勝つことが価値ではない

冒頭、日本の体育会系の特徴のひとつとしてあげたものに、試合の勝敗重視という傾向が強いことがある。スポーツクラブでも試合があれば、負けるよりも勝つほうが嬉しいには違いないが、ドイツではそれほど重要視していないように感じる。

いや、むしろドイツではスポーツクラブの社会的な期待や位置付け、実際の機能が日本の部活に比べてはるかに幅広く、「試合に勝つ」というのはスポーツを行う上での数ある価値の中の1つと考えられているとすべきか。

以上のようにドイツのスポーツクラブの特徴やその価値を分析してみることで、日本のスポーツ界にいじめや体罰がなくなり、社会的価値を高める議論につながると思う。次回以降、スポーツクラブの価値について掘り下げていくことにしよう。

高松 平藏 ドイツ在住ジャーナリスト

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たかまつ へいぞう / Heizou Takamatsu

ドイツの地方都市エアランゲン市(バイエルン州)在住のジャーナリスト。同市および周辺地域で定点観測的な取材を行い、日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。著書に『ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか―質を高めるメカニズム』(2016年)『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか―小さな街の輝くクオリティ』(2008年ともに学芸出版社)、『エコライフ―ドイツと日本どう違う』(2003年化学同人)がある。また大阪に拠点を置くNPO「recip(レシップ/地域文化に関する情報とプロジェクト)」の運営にも関わっているほか、日本の大学や自治体などで講演活動も行っている。

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