東京4年、26歳「映像」女子が関西に戻った理由 激務ながらも仕事は面白いが住むのは疲れた

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小
映像エディターとして活動しているしゅが〜ちゃんさんが、なぜ仕事を辞めて東京から離れることになったのか(撮影:川本史織)  
アイドル、女優、モデル、ミュージシャン、ダンサー、ライター、イラストレーター、漫画家――。日本最大の都市であり、多くの人とお金が集まる東京には「表現者」の女の子がたくさん集まっています。彼女たちはいったい何を夢見て、どのように生計を立て、どんな部屋で暮らしているのでしょうか。
女子部屋を撮り続ける川本史織の写真と、元地下アイドルで自らもライター業で生計を立てている姫乃たまが記す、東京に暮らす「夢追い女子」のお宅訪問インタビュー第2回。

フリーランスの映像エディターとして活動

駅から徒歩20分。

急勾配の長い坂を上って、すぐに急な階段を延々と下る。ちょっとした山のような公園を抜けると、駅前の雰囲気とは打って変わって、畑の点在する住宅街が広がっていました。

この連載一覧はこちら

夏の日差しの中、額の汗をぬぐいながらアパートのチャイムを鳴らします。

ほどなくしてドアが開くと、汗だくの私を見たしゅが〜ちゃんさん(26歳)が、「もしかしてあっちから来ちゃいました?」と、駅までの平坦な帰り道を教えてくれました。

Tシャツに書かれた「SAUNA IKITAI(サウナ行きたい)」の文字が目を引くしゅが〜ちゃんさんは、フリーランスで働く映像エディターです。テレビや映画の映像を編集して生計を立てています。

4年前、新卒でテレビ番組制作会社に入社したのを機に、大阪から東京へ引っ越してきました。会社に2年勤めた後、フリーランスになってそろそろ2年が経ちます。

「実はもうすぐ仕事を辞める予定で、東京に住むのもやめるんです」

写真を撮られるのが苦手だと話す彼女がこの取材を受けたのは、東京で暮らした家での記録を残したかったからです。

この記事が公開されるとき、彼女はもうこの部屋には住んでいません。

私が彼女の家を訪れたのは、この物件に引っ越してきてちょうど2年目の更新を迎える時期でした。

この家でしゅが〜ちゃんさんは、編集を手がけている番組でADやスタッフとして働いている同期の女性たちと4人で暮らしていました。家賃は光熱費込みで、1人当たり3万5000円。

「その代わり、駅からは遠いですけど」と、まだ汗を流している私に微笑みました。

どうして仕事を辞めて、東京から離れるのか、いきなり立ち入った質問はできなくて、「飽きちゃいました?」と冗談っぽく尋ねたら、「そうかも」と彼女も同じく軽い調子ではにかんで答えました。

次ページ「いろいろあったんで」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT