ユニクロも惚れた?Jクルーの実力とは 日本撤退後に大復活、今やセレブ愛用ブランドに

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「もともとJクルー自体、洋服からアクセサリー、靴までトータルコーディネートして、丸ごと売る戦略に長けているが、(ブランドや提携先を増やすことで)価格帯や年齢層、洋服を着るシーンなどに広がりができ、より広い顧客を狙えるようになった」(タケット氏)

米国や日本では近年、ロン・ハーマンのようにライフスタイル自体を提案し、それに見合った洋服や雑貨などを売るようなブランドが増えている。Jクルーもライオンズ氏主導の下、徐々に「Jクルー的、ライオンズ的なライフスタイルを売る」というビジネスの領域に入ってきている。

2人の強力なリーダーシップで成長しているJクルーだが、ファーストリテイリングが提案しているとされる50億ドルの買収金額は高すぎるとの見方が米国でも大勢だ。

高値づかみの日本企業

「(過去にイオンが買収した)タルボットしかり、バーニーズしかり。日本の企業はブランドが最も成功しているときに高値で買収し、その後鳴かず飛ばずのパターンが多い。アパレルのような先の見えないビジネスでのM&Aの鉄則は、とにかく安いときに買うことだ」(デービッドオーウィッツ氏)

確かにJクルーに成長余力はある。昨年11月に英国に進出し、今春には香港進出を予定するなど、ようやく海外展開に本腰を入れ始めたばかりだ。だが、ファーストリテイリングが50億ドルの元を取るには、「Jクルーの売り上げを今の2倍に引き上げないといけない」(デービッドオーウィッツ氏)。それには、既存ビジネスの成長だけでは不十分。ファーストリテイリングによほどの奇策がない限り、Jクルーはあまりに高すぎる買い物ではなかろうか。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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