不採算空港の量産時代に終止符、JALの減便増加でさらに苦境へ

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 利用者が多い福岡と那覇は黒字でもよさそうだが、莫大な借用地代が収支を圧迫している。前原誠司国交相が「ハブ化」拠点として名指した羽田も、拡張工事で借入金の利息負担が膨み赤字だ。

こうした赤字空港が“濫造”された背景には、空港関連に使途を限定した国の特別会計がある。航空会社は高い着陸料や海外では異例の航空機燃料税などを徴収されており、空港の建設費や維持運営費に充てられている。国や自治体は「1県1空港」の掛け声の下、空港を新設しJALを飛ばせてきた。着陸料や燃料税などJALの支払い額は1500億円以上と膨大だ。

経営危機にあるJALは当然、国内線削減を加速せざるをえない。撤退候補には信州まつもとや神戸、広島西などが挙がっており、リストには今年6月開港したばかりの富士山静岡空港も含まれる。

ただでさえ収支が厳しい中、JAL依存度が高い地方空港が廃港の危機に直面するのは必至。また前原国交相は特別会計の見直しを言明しており、国内空港は生き残りを懸けた本格的な競争時代を迎えることになる。

(週刊東洋経済)

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