「上野アメ横」年末の風物詩がいま抱える課題 外国人観光客、食べ物屋が増えて街が変化

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以前はなかった簡易飲食店も増えた(筆者撮影)

ところで、本稿を執筆中に「サクラエビの産地偽装」のニュースが飛び込んできた。

それによれば、台湾産サクラエビや小エビを「駿河湾産サクラエビ」として販売したり、駿河湾産と誤認させる不当販売が行われ、その中にアメ横の店も入っていたという。

現時点では、報道で知る限りの情報しか得ていないが、前述した「ヤミ市の雰囲気を残す」が、怪しい商品の販売につながってはアメ横の未来はない。

かつて二木氏は、アメ横人気が続いた理由を、「いい商品を仕入れて安く売るという商売が、お客さんに支持されてきたことが第一です」と話していた。いまこそ、アメ横の原点である「いい商品を安く売る」を周知徹底する時期だ。

「正月は店を休む」風潮はアメ横に追い風

時代の変化という意味では、別の追い風も吹いてきた。

大手小売業や外食チェーン店で、元日営業をやめたり、年末年始の営業時間を短縮したりする動きが広がったのだ。利用したいお客には不便だが、昔のように「正月は店を休む」風潮に戻れば、「正月用品の買い出し」が看板のアメ横には有利だ。

ただし、それも誠実な商売があってこそ。時代の変化という風には順風も逆風もある。その風とどう向き合うかに、アメ横の未来がかかっている。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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