38歳女性が「組合で恋愛結婚」で大成功した理由 「運命の人」は婚活サイトでなく組合にいた

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「『あなたがお嫁にいかないと私が再婚できない』と毎日のようにせっつかれました。朝、『おはよう』の代わりに『結婚しなさい』と言うようになったのです」

会社内でやったら完全なセクハラであるが、親子関係ならば仕方がない。「早く結婚しなさい」「子どもはまだなの」などと言う資格がもしあるとするなら、その人を育てた親しかいないのだ。

由里さんには母親の「強制」に従う素直さもあった。婚活サイトに登録し、婚活パーティーには10回以上参加。しかし、思わしい結果は出なかった。

「サイト上でやりとりをしても誠実ではない印象の人が多かったです。婚活はお互いに条件から入って相手を見るので、会話をしても人となりがわかりにくいとも感じました。ご飯に一緒に行った人も何人かいますがピンときたことはありません。そのうち、見ず知らずの人とゼロから関係を作ることに疲れてしまいました」

プロフィール検索がかけにくい「人となり」だが…

では、由里さんはどんな「人となり」の男性を望んでいるのだろうか。

「父がモラハラ気味で、母も強く言い返す人だったので、子どもの頃から夫婦ゲンカばかりを見てきました。私も母と似ているところがあって理屈っぽいほうだと思います。そんな私の話も聞いてくれて、穏やかで声を荒らげない人が好きです」

本質的ではあるが、婚活の「条件」にはしにくいポイントである。その条件ではプロフィール検索をかけにくいからだ。その頃、由里さんは会社で組合の委員になることが決まった。

「同じ職場で誰かがやらなければならなかったのですが、先輩の女性社員が断ったので私が引き受けることにしました」

この決断が由里さんに良縁をもたらすことになる。組合活動を通して、一回りほど上の女性社員と親しくなった由里さん。婚活疲れもあって「誰かいい人いないですかね」とこぼしたところ、「探してみようか」と言ってくれ、後日に「上村くんはどうかな」と持ちかけてくれた。その男性こそが現在の夫である直樹さん(仮名、34歳)である。

直樹さんは社内でも別の拠点にいるため、由里さんは面識がなかった。一方でその先輩社員は彼をよく知っている。恋人の有無や由里さんへの印象まで聞いてくれた。愛情と忍耐力がなければできることではない。組織への奉仕の精神が求められる組合だからこそ、こんな先輩と出会えたのかもしれない。

次ページ紹介された彼は、婚活市場に出てこない「掘り出し物」だった
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