レッスンでゴルフ嫌いになる不幸

インスパイア 取締役ファウンダー/成毛 眞

 数カ月前から人生初めてのゴルフレッスンを受け始めた。自分でも驚くほど飛距離が伸び、スコアもよくなった。スイングもキレイになり、なによりもゴルフがさらに好きになった。

実は20年ほど前、某超名門コースに連れていってもらったことがある。よほど私のプレーがひどかったのであろう、いますぐレッスンプロに習うべきだとラウンド後に練習場に連行された。ディズニーランドに行ったら、いきなり強制隔離入院させられたようなものだ。
 コース所属の70歳代のレッスンプロもあきれたのか、ビジターだからどうでもよかったのか、とりあえずは練習生でよかろうと、ボール小屋を掃除している若者を指名した。これがいけなかった。
 アドレスを直すときには自分のクラブを指示棒代わりに使い、ひざや尻をグリップの先で「ひざは止めて」などと言いながら小突くのだ。しまいには「ゴルフに向いていないかも」とつぶやきだす始末だ。「お前こそビジネスには向いてないだろう」と、心のなかで突っ込みをいれたことは言うまでもない。
 超名門であるからクラブハウスではコースの蘊蓄をたっぷり聞かされ、当然マナーについては風呂の入り方に至るまで、ラウンド前から念を押された。しかし、クラブハウスの裏に回ると、ゴルフがうまいだけで、人としてのマナーも知らない若造を先生と呼ぶ不思議な光景があったのだ。

それからのゴルフは自己流である。本や雑誌を定期的に買い込み、DVDも見た。その結果、やっと100を切れるようになったのは5年ほど前である。そのころに家内が友人のすすめでゴルフレッスンを始めた。駅前のインドアレッスン場に通い始めたのだ。
 しばらくして、家内の初めてのラウンドレッスンに付き合うことになった。60歳代と思われるレッスンプロは朝から実に明朗で、今日は俺にすべてを任せてくれと自信満々であった。これがいけなかった。
 スタートの4ホールまでは私がプロに勝っていた。ドライバーの飛距離も大差なく200ヤードそこそこだ。はるか昔にプロテストに合格しただけで、いまではアベレージゴルファーに毛が生えた程度の人からレッスンを受ける筋合いはない。
 しかも、その教え方は「そこをもう少しぐっとこらえて」「スーッと引くように」「バーンと」などと「長嶋用語」満載なのだ。アドレスやポスチャーの矯正はなく考え方はスイング中心だ。

やがてゴルフ場に閑古鳥がなくことになったのは当然の帰結だ。レッスンプロを先頭にしてゴルフ業界全体が時代に取り残されてしまったのだ。しかし、それをチャンスとして本格的で近代的なゴルフレッスンが始まっている。次回はわが母校「ダンロップゴルフスクエアおおむらさき」の試みについて書いてみよう。

インスパイア 取締役ファウンダー/成毛 眞(なるけ・まこと)
1955年北海道生まれ。アスキーなどを経て、91年マイクロソフト日本法人代表取締役社長。2000年に退社後、投資・事業開発コンサルティングのインスパイアを設立。趣味はジャズレコード収集やプラモデルなど多数。無類の読書家としても有名、書評も多く手掛ける。
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