アニメミライ2014がアニメ界を変える?? 慢性的な人材不足を救う一手になるか?

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16
拡大
縮小

『リトルウィッチアカデミア』に注目

第2回となる「アニメミライ2012」は韓国の「第17回ソウル国際マンガ・アニメーションフェスティバル」でグランプリ、「第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭」で審査員特別賞を受賞するなど、海外でも高い評価を得た。また、第3回となる「アニメミライ2013」の1作品「リトルウィッチアカデミア」は、YouTubeでも公開され、世界中で熱狂的な人気を得た。米国では続編を見たいという呼びかけに応じ、6000万円の資金が集まったという。

さて、今回の「アニメミライ2014」であるが、今年も粒ぞろいの傑作となった。

「パロルのみらい島」は、「ドラえもん」などでおなじみのシンエイ動画が制作した。同社の作風では動きの激しいアニメは作りにくい。「老舗だから新しいことはやらないと思われがちなので、ぜひチャレンジしたかった」と、岡田麻衣子プロデューサーは参加の狙いを語る。

日本アニメーター・演出協会の井上俊之代表理事は次のように語る。「最初は短編を4本作るだけではアニメーターは育たないと言われていたが、4年続いて、参加人数が増えるに従い、アニメーターを育てることがどういうことかを考える機運が育ってきた」。

若手だけでなく、OJTを行ったベテランも刺激を受けた。「原画家全員が同じ場所で作業するのは監督としても貴重な体験だった」と、「アルモニ」の監督を務めた吉浦康裕氏は語る。

「黒の栖―クロノス―」の恩田尚之監督は、こう語った。「いちばん育ったのは僕かな」——。

「アニメミライ2014」は3月1~14日、全国で劇場公開される。次代のアニメ業界を担う若手の実力を目の当たりできるよい機会である。その制作費が国費で賄われる。いちアニメファンとしては、税金を払うかいがあったと思わずにはいられない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT