日本のスポーツで「ハーフ選手」が急増する理由 来年の東京五輪でも多くの選手が活躍する

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それにより、日本代表には登録メンバー31人中、16人の海外出身選手が含まれていた(うち9人は日本国籍を保有)。彼らは日本に不足していたサイズ(体の大きさ)やパワーを補った。彼らが日本の躍進に不可欠な役割を果たしたことは間違いないだろう。

もちろん、サッカーの場合は、Jリーグでプレーしているからといって、外国人選手を日本代表に加えることなどできない。だが、それができなくとも、従来の日本人の長所を保ちつつ、フィジカルでも海外勢に負けない。そんな優位性を作ってくれるのが、ハーフの選手なのではないだろうか。

だからこそ、彼らは特別な存在として注目を集める。

U-17日本代表で右サイドバックとして活躍した畑大雅(父がナイジェリア出身)にしても、走力に長け、スピードを生かした攻撃参加を得意とする。まだまだ粗削りな部分はあるが、だからこそ、森山監督も畑をレギュラーで起用した。

人種のるつぼのような欧米諸国と比べると、日本でハーフがいかに増えているとはいえ、その存在自体がまだまだ目立つ。だが、畑は「注目されるのは、素直にうれしい」と言い、こう続ける。

「みんなとは違うという部分で、小さいころはいろいろありましたけど、結果として、お父さんとかのおかげでここまで来られていると思うんで。そういうところは、マイナスというよりプラスに捉えてやれているのかなと思います」

スポーツ界にどんな変化が起きるのか

スポーツ界も、所詮は一般社会の縮図でしかない。時代の変化とともに、日本代表もその顔ぶれを変えていくのだろう。

ハーフのアスリートの活躍は今後、さらに顕著になる可能性が十分にあるし、日本が労働力の減少を補うため、移民を積極的に受け入れるようになれば、当然、その影響はスポーツ界にも波及するはずだ。

近い将来、ハーフどころか、両親がともに外国出身という日本代表選手も増えてくるのかもしれない。彼らがフィジカル的なアドバンテージを持っているとすれば、なおさらだ。

だが、それもまた日本を代表して世界と戦う選手であり、チームである。ラグビーの日本代表がそうであったように、その変化を受け入れ、応援できる世の中であってほしいものである。

(文中一部敬称略)

浅田 真樹 ジャーナリスト

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あさだ まさき / Masaki Asada

1967年5月31日生まれ。大学卒業後、現職とは縁もゆかりもない一般企業勤務を経て、フリーライターとしての活動を開始。現在、総合スポーツ誌、サッカー専門誌、ウェブ媒体などで執筆活動を行う。サッカー・ワールドカップは7大会連続での現地観戦。最近20年間で同U-20ワールドカップを全10大会中9大会、U-17ワールドカップを8大会取材している、(たぶん)世界唯一のジャーナリストでもある。

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